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凡人が天才になるには

このコラムの題名は奇をてらうためにわざと過激にしてあります。
語弊を少なくするためにも、頭に「おれの様な」などと付けてお読みになる事をお勧めします。



世の中には、能力の差というものがある。
大人になるに連れて、どうしようもなくそのことを痛感させられる事だろうと思う。
先天的にどうしようもない物から、環境や意識によって後天的に生じる物まで
それは多種多様だけれど、今回は意識や努力によって何とかなりやすいで有ろう
後天的な能力の差の方に注目してみたいと思う。



題名について筆者がどちらの側にいるのかはともかく、
「物を覚える」と言う全ての行動の大本(おおもと)になる行為が
実は後天的な能力であると言うことは余りに知られて居ない。
では、どうすれば「学習能力」の高い人間になれるのかを分析してみよう。



先ず第一に、記憶力の違いは学習能力に関係ない事を知らねばならない。
確かに人間の記憶力には限界がある。だがそれはどんな人間でもそうなのである。
従って、記憶力は「物を覚える速度・絶対量」とは関係がない。



しかし、物覚えの早い人・遅い人の差は歴然とある
例えば、一般に老人より若者の方が覚えが早いと言われている。
勿論全てがそうだとは言わないけれど、大抵の老人は自分でそう言う。
そして理由を聞かれても「ただそうだから」としか言わない。
理由が結論と同じなのである。
これでは話にならない。
そしてその見識は間違っている。そこを分かり易く説明してみよう。



筆者は水泳コーチを長くやっていたが、
第一に、覚えが遅い生徒は、与えられた情報の全てを頭から鵜呑みにして
覚えなければいけないと思いこんでしまっていると言える。
先程も言ったように人間の記憶力には限界があるから、
途中で覚えきれなくなって話を聞くのが苦痛になる。

だから上手い先生は、話の要所がどこなのかを分かり易く話す。
「こことここだけを覚えればいい」と覚える場所を明確にすることによって、
話の比重がどこにかかっているのかを生徒が模索しなくても良い状態にする。
つまり、そこなのである。
覚えの早い人間は、要点を考えながら話を聞いている。
「自分に必要な情報は何か?」と常に考え、先に想像している。
そうすることによって、どの情報が自分に有益なのかも自ずと分かってくる。

情報に優先順位を付ける。
どうやらここに秘密がありそうだ。



そろそろ先程の「老人と若者の違い」について述べよう。

まず、物を覚えるに当たって最も妨げになる物は、
実は明確にあるのだという事を知って貰いたい。
専門家に聞くとみな一様に、口を揃えてこう言う。

それは先入観だ、と。
先入観とは物事を決めつけてかかることだが、先程の話を例に出すと、
老人の陥りやすい先入観の最たる物、劣等感と言うのがある。

「これは、元来難しい物だ。」
「昔からやってないと出来るようにはならない物だ。」
「自分には何も知識がないから、きっと覚えが遅い。」
不安と同時に、かような劣等感を抱いてしまうようだ。

そんな状態で物を学ぶとどうなるか?
ほんの少しのつまずきにも大きなストレスを感じるようになる。
ストレスを感じる物を無理に頭に詰め込むとどうなるか?
脳が反応しなくなる。
無意識のうちにその作業から離れようとする
これでは物を覚えるにあたわない。

正確な情報を掴むためには、先入観や偏見は妨げになるだけだ。
「理解出来て当然」くらいの気持ちでいるのが一番吸収率が良い。

先入観をなくす。
これは物を覚える一番の近道だ。



人に物を教える仕事をしてきたことや啓蒙者に出会ったことで
こんな総括をしてみたくなったのだけども、これから何か始めるときに
読み返してみる価値のある物を書くように心がけた。
もしあなたの学習能力の向上に役立てたなら、この上ない幸せである。






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