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中電 共聴対策 大幅縮小へ

地デジ化で受信障害1%以下


電信柱の上の複数のアンテナが、中部電力が設置した集合アンテナなどの共聴施設

 中部電力は11日、2011年7月の地上波テレビ放送の完全デジタル化で、送電線などの影響で受信障害を受ける建物が、現状の1%程度まで減る見通しを明らかにした。直進性が高いデジタル波の特性などによるもので、完全デジタル化に伴い、受信障害を受けている世帯向けに集合アンテナなどを設置する「共聴」対策も大幅に縮小する。ただ、山間部などでデジタル波の受信が困難な地域については、中電の集合アンテナなどを譲渡することも検討している。

完全実施まで3年

◆42万戸→数千戸
 中電は、東海3県と長野県、静岡県の一部の約600万世帯に電力を供給している。このうち42万戸(マンションも1戸と計算)が、鉄塔の陰になったり送電線の影響などで、アナログ波のテレビの画像が2重に映る「ゴースト」といった受信障害を受けている。

 中電は、受信障害の原因になっている鉄塔の建設に合わせ、受信状況が良い場所に集合アンテナを設けて受信障害がある世帯などにアンテナ線をつなぐ「共聴」対策を行ってきた。中電が管理している集合アンテナなどを備えたアナログ用の共聴施設は、約400か所ある。

 これに対し、デジタル波には電波障害を受けにくい特性があり、受信障害も起こりにくくなるとされている。このため、完全デジタル化で、受信障害を受ける建物は、「現在の1%以下の数千戸まで減る見込み」(中電)という。

◆負担増の可能性
 中電は、地上デジタル放送の電波発信は始まっていることから、アナログ放送向けの共聴対策を講じている地域で、デジタル波の受信が可能かどうかの調査を終えている。

 中電は、アナログ放送が終了した段階で、デジタル放送が障害を受けなくなった地域については共聴施設を廃棄する方針だ。この結果、これまで共聴の恩恵を受けていた一般家庭などは、独自にアンテナを立てるか、ケーブルテレビ(CATV)と契約するなどしなければ地上デジタル放送を視聴できなくなるなど、出費を強いられることになる。

◆施設の譲渡も
 アナログ波は、画質が悪くても、とりあえず視聴することはできたが、デジタル波は山や高層マンションの陰、愛知県瀬戸市の地上デジタル放送の発信拠点から遠い地域などでは、全く画像が映らないケースも想定される。こうした地域に対しては、中電の共聴施設を譲渡することも検討している。この場合、共聴施設の譲渡を受けた町内会などは、デジタル対応に自前で改良することになりそうだ。

2008年7月12日  読売新聞)
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