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抗うつ剤、効果に3割の差 日英伊研究、薬を順位付け

2009年1月31日10時0分

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 「薬の種類による差はない」とされてきた抗うつ剤が、効果に30%以上の開きがあることが日英伊の大規模な国際研究でわかった。効果と副作用のバランスをもとに薬の順位づけもした。世界各国の抗うつ剤に関するガイドラインを書き換える可能性がある。29日付の英医学誌ランセットで発表した。

 抗うつ剤は、20年ほど前に「新世代」と呼ばれる副作用が比較的軽い薬が登場し、12商品(日本では4商品)が主に流通している。しかし「効果には大差がない」というのが通説。世界の精神医療を先導している米精神医学会の治療指針も効果に差はないとしたうえで、患者の意向や費用などをもとに選ぶよう求めている。日本でも医師の考えで薬が決められていた。

 今回の研究で、うつ病治療でどの薬を第一選択肢とすべきかが初めて明らかとなり、薬の選択がしやすくなる。

 研究には、名古屋市立大の古川壽亮教授(精神医学)のほか、英オックスフォード大やケンブリッジ大、伊ベローナ大の医師12人が参加。12の薬を対象に、91〜07年に世界各国で行われた効き目に関する比較臨床試験のうち、科学的信頼度の高い117試験を選んで解析。8週間後の効き方と、副作用のため薬をやめた率を比べた。

 効き目だけでみるとミルタザピンが最も高く、レボキセチンに比べて患者に効く率が34%高かった。日本で承認販売されている薬を比べると、セルトラリンはフルボキサミンに比べ、11%高かった。

 一方、副作用などもあるため、その要素を加味。その結果、効き目と副作用のバランスがよく、患者にとって使いやすい薬の順番がわかった。

 日本では現在、ミルタザピンとデュロキセチンが販売承認申請中のほか、エスシタロプラムなどが臨床試験中。厚生労働省調査では、うつ病や躁(そう)うつ病など気分障害により通院している人は90万人以上いる。(岡崎明子)

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