脊髄(せきずい)の手術で約2カ月入院した。大きな病院のせいか、医師との意思疎通に不安と不満が残った半面、看護師の仕事ぶりに感心した。日常の決まった仕事をこなしながら、次々と飛び込むナースコールに1秒でも早く応えようと懸命だ。駆け足で仕事をしている。特に人数の少ない夜勤の看護師は、懐中電灯片手に病棟を飛び回っている印象だった。
そんなわけで、足腰に不安のあるわが整形外科病棟の患者たちの話題は「ナースステーション付近は危ない」というものだった。飛び出してくる看護師と衝突し、転倒でもしたら大変、というわけだ。もちろん冗談だが、急性期病棟の看護師の仕事がかなり過酷だというのは、多くの患者仲間の実感だった。
地方の、特に中小の病院では、医師だけではなく看護師不足も深刻だという。半面、離職者も多いと聞く。国の医療費抑制、ハードな仕事、子育てとの両立など、さまざまな問題が指摘されている。看護師を怒鳴る「モンスター患者」の増加も一因と聞くと、まさかと思ってしまう。「白衣の天使」(ちょっと古いけど)を怒鳴るなんて。【木元六男】
毎日新聞 2009年1月28日 地方版