歯科医療関係者らでつくる文部科学省の研究協力者会議は30日、国家試験の合格率が低迷する大学に定員見直しなどを求める報告書をまとめた。同省は歯学部のある29大学に報告書内容を通知し、改善計画の提出を求める。
報告書は「歯科医師が過剰になり、この数年で志願者が著しく減少するなど、選抜機能が大きく低下した大学がある。歯科医療の信頼性にかかわる」として、▽国家試験合格率が低迷▽臨床実習に必要な患者の確保が困難▽留年が多い--などの大学に定員を見直すよう求めた。適性を欠く学生には進路変更を勧めることも提言した。
さらに「国家試験対策に追われて臨床実習が減っている。実際の医療に携わらない見学型実習にとどまる傾向もある」として、臨床能力試験の実施も求めた。
歯科医師の新規参入は、旧厚生省の検討会が86年に20%以上削減すべきだとし、98年にはさらに10%程度の削減を提言。しかし同年以降の入学定員削減は約2%にとどまる。過去5年で志願者が3分の2以下になったのは10校。昨年の国家試験合格率は40.4%~91.2%で大学ごとにばらつきがある。【加藤隆寛】
毎日新聞 2009年1月30日 12時48分