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中之島セレブな開発 美術館上に高級マンションも

 構想から25年を経て平成21年度中の整備計画作成を決めた大阪市立近代美術館建設をめぐり、財政難の市が民間資本の導入案を打ち出し、これに応える形で、私鉄大手の京阪電鉄や大手ゼネコンの大林組が参画に前向きな姿勢を示していることが9日、分かった。民間企業とともに建設するなら、採算性の確保が必須条件で、美術館を高層建築にして上層階をマンションにするアイデアも浮上。実現すれば、市の中心部、中之島に珍しい“美術館つきセレブマンション”が登場することになりそうだ。

 美術館建設計画参加に前向きな京阪電鉄は、建設予定地の大阪市北区の中之島に新路線・中之島線を開業させた。予定地は同線渡辺橋駅から徒歩数分だ。

 この地域は、10年前から国立国際美術館や大阪国際会議場などが次々と建設され、昨春には大阪大医学部付属病院跡地の再開発地区「ほたるまち」が街開きし、マンション整備が進んでいる“有望地域”だ。しかし、中之島線は開業1カ月の平日の平均乗降客数が約3万人で当初見込みの8万人の4割程度。このため、京阪電鉄は近代美術館建設を沿線活性化の起爆剤に、とも考えているという。

 巨額建設費を捻出

 市が10年に策定したもともとの基本計画では、近代美術館の概要は地下1階、地上8階建て延べ約2万4000平方メートルの施設。レストランやミュージアムショップなども入り、建設費約280億円だった。だが、巨額の建設費がネックとなって計画は頓挫。現状では、市の担当者は施設規模のスケールダウンを中心に計画を検討している。

 しかし、別の市幹部は「美術館単体だけでは採算が合わず、民間活力を導入しにくい」として、「高級マンションが点在する中之島の立地も考えると、民間資本で建設、運営するPFI方式を採用し、下層階を近代美術館、上層階をマンションにした高層建築もありうる」との“セレブマンション”のアイデアを打ち出している。

 景気悪化で撤退も

 市は美術館の23年度末の完成を予定している。21年度は整備計画をたて、22、23年度が実際の着工、建設というスケジュールだ。しかし、20年後半の米・サブプライムローン危機に端に発した金融不安から、年末には急激な景気後退に見舞われた。日本経済が「全治3年」としても、美術館建設時期は、この時期にすっぽり収まってしまう。

 それだけに、市は、今のところ前向きな京阪電鉄や大林組の動向が気になる。市は「景気の悪化で、手を挙げた企業が尻込みする可能性も否定できない」と積極的な働きかけも検討している。

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