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自殺生徒の母親「何があったのか、きちんと答えて」

2009年1月29日

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写真自殺した男子生徒の自宅には花が飾られ、制服が掛けられていた=福岡市西区、金子元希撮影

 自殺の原因は体罰だったのか――。福岡市西区で19日に飛び降り自殺した中学1年の男子生徒は自殺前、担任の男性教諭(37)から体罰と受け取られかねない行為を受けていた。自殺との因果関係ははっきりしないが、遺族は「何があったのかきちんと答えてほしい」と訴える。

 生徒は会社員の父親(44)と高校の数学講師の母親(39)、小学3年の弟(9)の4人暮らしだった。獣医師を目指し、理科や数学が得意で成績はクラス上位。中学では、担任が理科教師だったこともあって、張り切っていたという。担任は生徒が所属する剣道部の顧問だった。母親は29日朝、「毎日、毎日、本人が包まれた絶望と同じ絶望を感じている。後悔ばかりで……」と声を振り絞った。

 両親によると、生徒に変わった様子が見られたのは、自殺4日前の今月15日。午前8時すぎ、勤務先で課外授業中だった母親の携帯電話に、生徒から5回の着信があり、うち1回は留守番電話にはなをすするような音が入っていた。生徒は学校に持って行く連絡帳が見つからず、探していたという。それで学校にも遅刻。帰宅した生徒は「忘れ物はしてはいけない」と語る一方、「学校に行きたくない」とも話した。中学ではそれまで遅刻や欠席が1回もなかったという。

 自殺当日の19日朝も、生徒は自宅から泣きながら母親に電話をかけた。この日も母親は課外授業中だったが、着信は10回以上。留守番電話に2度、「うっ、うっ」と泣き声が残されていた。

 生徒は、父親から「はよ、行かんか」と言われて、半べそで自宅を出た。父親がその後、生徒のパソコンを調べると、インターネットで「楽な死に方」などとして自殺の方法を紹介するサイトを見ていたことがわかった。父親は驚いて母親に連絡し、学校に来ているか確認するよう頼んだが、「まさか飛び降りるとは思わなかった」という。

 両親によると、生徒は昨年6月、友人をいじめているのではないかとして、担任から事情を聴かれた後、「もうだめだ」と震えながら言い、「担任に何を言っても信じてもらえない」と訴えていた。その後は目立ったトラブルはなかったが、「担任に嫌われたのではないか」と語ったことがあったという。

 母親は「息子は担任から精神的に追いつめられていた。それ以来、息子は担任への恐怖心を持ち、私も不信感があった。真相が見えないが、学校に行きたがらなかったことから考えると、学校側の指導が要因の一つになった可能性はある」と話す。

 中学校側は29日、担任や他の教員、生徒の友人たちから聞き取った内容を2月6日までに報告書にまとめ、遺族に渡すことを明らかにした。

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