【ガザ市(パレスチナ自治区ガザ地区)高橋宗男】ガザ地区でパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの最高幹部と目されるアフマド・ヘラス氏は、イスラエル軍のガザ攻撃開始後、ファタハのメンバーを狙ったイスラム原理主義組織ハマスによる銃撃、襲撃事件が100件以上に上り、少なくとも17人が殺害されたと明らかにした。
27日夜に毎日新聞とのインタビューで語った。ハマスはイスラエルによる攻撃中、ロケット弾の発射場所や幹部の所在を内通したとして「イスラエルの協力者」の取り締まり強化を宣言している。双方の確執は根深く、パレスチナ2大勢力の融和は前途多難だ。
ヘラス氏によると、「ファタハ狩り」はイスラエルとハマスが、それぞれ停戦を宣言後も続く。ファタハに属するアイヤッド・アバドラさん(30)は22日にガザ市の病院の警備員詰め所で、警察の制服姿の5人から「ファタハ野郎」となじられ、2時間も殴るけるの暴行を加えられたと証言した。
イスラエルとハマスの停戦継続に向け、調停役のエジプトはガザ地区を支配するハマスとヨルダン川西岸を拠点とするファタハの和解も仲介する方針だ。だが、ヘラス氏は「和解協議が実質的に始まるまで1カ月はかかる」と指摘し、当面はガザ地区でハマスによる暴力が続く可能性があると危惧(きぐ)した。
一方、ヨルダン川西岸ではファタハによるハマスメンバーの拘束が相次ぐ。ハマスのハニヤ最高幹部の顧問、アフマド・ユーセフ氏は「西岸での拘束者釈放」が和解協議開始の前提条件と強調した。
毎日新聞 2009年1月29日 15時00分(最終更新 1月29日 15時00分)