「試し腹」を追って、有力な出典であるとされる「朝鮮風俗集」(今村鞆 龍渓社)を探してみました。
この本は、定価が12,000円であり、今の私にはとても買えません。そこで大阪市立中央図書館で借りてきました。
スキャナは持っていませんのでデジカメ撮影です。悲しい。
問題の367、368ページですが、nominally氏の提示されたものと同じですね。
右のページの最後の行に「チャンスン(張将)」と書いてあります。
367ページ
368ページ
さらに369ページ
朝鮮の話なのに、なぜ鬼谷先生が出てくるのか?という疑問は、今は追及しません。
なお、今村鞆には、この「朝鮮風俗集」の続編ともいえる「歴史民俗 朝鮮漫談」という著書もあるのですが、こちらにも「試し腹」に関する記載はありませんでした。
しかし、「朝鮮風俗集」につきましては、複数の検証が行なわれるほうが確実ですのでchounamoul氏の検証を待ちたいと思います。
私の不鮮明な画像ではわかりにくいでしょうし・・・
そのほか今回調べたものは、
「朝鮮の民俗文化と源流」(魚塘 同成社)
「朝鮮の民俗」(任東権 岩崎美術社)
「韓国の民俗体系」(韓国文化公報部文化財管理局 編 竹田亘・任東権 訳)
いずれも記載はありませんでした。
また、昭和10年代に発行された「朝鮮総督府調査月報」や、明治以降の民俗学雑誌の目録を調べたのですが、関係のありそうな題名のついた調査報告は、
「李朝実録 朝鮮婚姻考」(藤田東三 昭和16年)
「親属間の不倫行為に対する李朝法制について」(金斗憲 朝鮮総督府調査月報 昭和16年)
「朝鮮に於ける婦女の地位の変遷」(朝鮮総督府調査月報 昭和17年)
「朝鮮民俗採訪余録」(孫晋泰 昭和8年2・3月『郷土研究』連載)
「朝鮮妾考」(鳥畑隆治 昭和8年4月『土の香』掲載)
「仍火島の近親婚」(孫晋泰 昭和8年『民俗学』掲載)
といったものがありました。
以上、報告します。