(CNN) マヤ文明の長期暦が終わる2012年12月21日は、地球終末の日となるのか――。そんな論議がネットや書籍で盛り上がっている。この日は新しい時代が始まる日だという説もあれば、地球が滅亡する日だという説もある。
マヤはメキシコなどの中米で栄えた古代文明。高度な天文学を理解していたとされ、独自の暦を持っているが、5125年を単位とする長期暦が2012年12月21日で最終日を迎える(21日ではなく23日が最終日だとする説もある)。
この日に何か不吉なことが起きるとマヤ人が予言したとの説が広まり、終末予想に火が付いた。2012年に関する本が相次いで出版され、ネットではカウントダウンサイトも登場。「2012」を検索すると、サバイバルガイド、サバイバル講座、各種の予言、当日の装い、「2012年終末」「2012年黙示録」といった文字をあしらったTシャツなどが出てくる。
ハリウッドもこのブームに目を付け、ジョン・キューザック主演、「デイ・アフター・トゥモロー」を手掛けたローランド・エメリッヒ監督で、映画「2012」がこの秋に公開される。
もっとも、学者はこの騒ぎに眉をひそめているようだ。テキサス大学中米センター長のデビッド・ステュアート氏は「マヤが2012年について何か意味のあることを言ったという説を真剣に信じる学者はいない」と言う。
しかし2012年12月21日が冬至に当たり、太陽が天の川の中心に来る時期と一致するという事実だけで、センセーショナリズムをあおるには十分なようだ。中には太陽風で火山の噴火が誘発されて極の反転が起こり、地球が逆方向に自転を始めるという説まである。
米航空宇宙局(NASA)のサイトでは、天文学者が一般からの質問に答えるコーナーに2012年に関する質問が殺到。科学者のデビッド・モリソン氏は「終末説を唱える人たちがデマを言いふらしている」と回答した。
35年にわたってマヤ文明を研究しているコルゲート大学のアンソニー・アベニ教授も「マヤの予言について記した人気本は、ほとんど根拠のないでっちあげだ」と批判する。
アベニ、ステュアートの両氏とも、マヤ暦と2012年についての解説本を出しているが、センセーショナルな本の陰で正しい説には興味を持ってもらえないのではないかと懸念する。
実際、「Apocalypse 2012」(2012年の黙示録)を執筆したローレンス・ジョセフ氏は、大規模な自然災害などの可能性に言及。しかし実際のところ、世界がこの日に終末を迎えるとは思っていないと打ち明けた。
草の根のマヤ研究家を自称するジョン・ジェンキンズ氏によれば、2012年を終末や黙示録と結び付けて解釈するのは誤りで、5125年の長期暦の終わりはすべてが転換して新しくなることを意味するという。
「マヤ人は2000年前、世界はこの日、大きな転機を迎えると考えた。これはマヤ人以上にわれわれにとって意味があるのに、素晴らしい文化が誤解されているのは悲しいことだ」とジェンキンズ氏は話している。