仙台市泉区の北陵クリニック(閉院)で平成12年、患者5人に筋弛緩(しかん)剤が投与され、1人が死亡した事件で、被害者で意識不明の状態が続いている大島綾子さん(19)と両親が元准看護師、守大助受刑者(37)=殺人罪などで無期懲役確定=に5000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決(井上稔裁判長、石原直樹裁判長が代読)が28日、仙台高裁であった。石原裁判長は5000万円の支払いを守受刑者に命じた1審仙台地裁判決を支持、守受刑者側の控訴を棄却した。
昨年5月の1審判決では、守受刑者が故意に大島さんの体に筋弛緩剤を投与したことを認定。「苦痛は綾子さんの命が奪われた場合と同じぐらい大きい」として、原告側の請求をすべて認め、5000万円の支払いを命じていた。
守受刑者側は、無罪を主張した刑事裁判同様、筋弛緩剤投与を否定していた。
確定した刑事裁判の判決によると、守受刑者は12年2月〜11月、同クリニックに入院していた大島さんら5人を殺害しようとして、筋弛緩剤を点滴に混入し、無職女性=当時(89)=を殺害したほか、当時小学6年だった綾子さんら4人を意識不明にさせるなどした。
【関連記事】
・
70代の男性患者、筋弛緩剤誤投与で死亡 鳴門の病院
・
「筋弛緩剤投与せず」民事控訴審で守大助受刑者側 仙台高裁
・
産院から筋弛緩剤盗まれる 名古屋
・
即日判決に不服男の控訴棄却 「問題ない」
・
「裁判、適当にされた」一審で即日判決の男、控訴審で説明