韓国はソフトウェアの墓場(上)
事例1:警察は昨年5月、南大門火災事件を捜査するためにソウルのある区役所を家宅捜索した際、驚くべき事実を発見した。区役所内にある約1300台のパソコンに、違法コピーのソフトがインストールされていたのだ。同区役所は、正規品を使用することを当該ソフト業者と合意したことで告訴は免れたが、コピーソフトを使用していた事実が明るみとなり大恥をかいた。
事例2:韓国国内のある中小企業がスペインの有名チャート管理プログラムを無断で使用し製作したソフトに、政府が認証を与えるというあきれた事件が起こった。国内の多数のIT(情報技術)サービス業者らは、政府の認証を信用し同プログラムを使用したことで、スペインの業者から著作権侵害で告訴された。しかも、公共機関や民間企業におけるITシステム発注の際、「1ウォン(約7銭)落札」「100ウォン(約7円)落札」といった契約が依然としてまかり通っている。
こうした事例は、韓国のソフトウェア産業の現状を示す氷山の一角にすぎない。ソフトウェア産業はIT分野だけでなく、金融、自動車、造船、重工業、化学など全産業において競争力を示す中核産業として浮上しているが、韓国での認識はまだ「電算室」レベルだ。KTの李錫采(イ・ソクチェ)社長は「韓国は携帯電話やメモリ半導体といった『T(技術)』分野は強いが、『I(情報)』分野のソフトウェアの世界的企業は皆無」と嘆いている。
海外では、ソフトウェア技術が携帯電話や自動車といったハードウェア製品の革新をもたらしている。アップル社の「iPhone(アイフォン)」はその代表格といえよう。アップル社はタッチスクリーン入力方式や通信技術など、すでに開発されている技術を優れたソフトウェアと融合し、世界最高の製品を作り出した。携帯電話の製造は台湾の企業に任せているが、何ら品質上の問題はない。
世界的自動車メーカーのBMWも、自動車革新の90%をソフトウェアで達成している。LCD(液晶表示装置)テレビ、航空機、携帯電話、医療機器などほかの分野でも、製品開発コストにおけるソフトウェアが占める割合は50%を超える。
しかし、韓国は「IT大国」という名声とは裏腹に、ソフトウェア分野では大きく立ち遅れている。IT市場調査機関のIDCによると、韓国のソフトウェア企業は世界100大企業に1社も名を連ねていない。
チョ・ヒョンレ記者
チョン・ジニョン記者
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