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キューバ 健康 IPS
キューバ:中絶と避妊
2006/06/09

【ハバナIPS=ダリア・アコスタ、6月1日】

 40年前に中絶が合法化されて以来、キューバ人女性は倫理面など気にせずに避妊のひとつの手段として簡単に中絶する。生物統計学の専門家であるミリアム・グラン氏が4000人以上の女性を対象として行なった「中絶と避妊:妊娠をコントロールする2つの方法」と題された全国調査で、キューバ人女性の中絶と避妊に対する考え方が明らかになった。この調査は国連人口基金(UNFPA)が支援している。

 「中絶件数自体は家族計画、健康教育、性教育の効果もあって減少しているが、出生率も低下しているので目覚しいほどの変化ではない」とグラン氏はIPSの取材に応じて語った。

 キューバでは1965年から中絶が女性の権利として合法となった。法律は中絶を妊娠10週目以前に行なうべきものと定め、それ以降は医療上の理由があれば認められ、健康保険が適用されない中絶は違法としている。中絶が安心して行なえるようになったことで女性は心理的に中絶を拒絶しなくなった。

 キューバ保健省の健康統計年鑑の最新版によると、妊産婦の死亡率は出生10万人当たり38.5人である。中絶件数の割合の高さに比べると、中絶が原因の死亡は11件と多くはない。専門家も中絶の合法化により妊産婦の死亡率は下がったと考えているが、中絶を緊急の場合に限定するために性教育や家族計画も伴わなければならないとしている。

 中南米諸国の多くがレイプと母体が危険な場合にのみ中絶を合法としている中で、キューバとギアナでは女性が合法的に中絶できる。UNFPAによると毎年世界で1900万人が安全でない状況で中絶を受け、そのうち中南米の中絶は400万人であり、妊産婦の傷害や死亡につながっている。UNFPAはキューバが性と生殖に関する健康をさらに促進するために、性教育や家族計画などの活動を支援していくとしている。

 キューバ人女性にとって中絶は権利である。独身女性の避妊に社会的タブーはなく、女性は生殖に関して自由に決定する権利も持つ。だがあらゆる手術にはリスクが伴うことを忘れてはならない。不妊に悩む女性の70%は中絶した経験があるという。キューバ人女性の中絶に関する考え方について報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=加藤律子(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩

(IPSJapan)

ハバナIPSのダリア・アコスタより、キューバ人女性の中絶に関する考え方について報告したIPS記事。(IPS Japan浅霧勝浩) ,
















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[19235] 誤訳?
名前:小椋宗一郎
日時:2006/06/12 12:11
「健康保険が適用されない中絶は違法としている」というのは、原文では以下の部分だと思います。

Terminations carried out outside the public health system are punishable by law.

この場合、the public health systemというのは、健康保険のことではなく、病院などを含めた公的医療機関のことではないですか?

また、原文記事にも起因しているのですが、内容に問題がある気がします。ほんとうに、「キューバ人女性は倫理面など気にせずに避妊のひとつの手段として簡単に中絶する」のでしょうか? 

この根拠は、おそらく次の部分ですね。

Among the women who had abortions, 52.2 percent said that they had taken this measure because they had "given up" some birth control method, 30.1 percent because of "lack of knowledge," 7.3 percent because they "preferred it,"

はたして、"preffered"というのは、避妊より中絶を選んだという意味なんでしょうか? 「出産より」と言うなら分かります。これは統計の誤読なのではないでしょうか
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