【パリ/フランス 24日 AFP】危険な人工妊娠中絶手術により、全世界の発展途上国で年間6万8000人の女性が死亡し、少なくとも500万人が感染症や合併症で術後の入院を余儀なくされているとの記事が、英国の週刊医学誌「ランセット(Lancet)」に掲載された。
■術後入院者数は1000人あたり16.4人
ニューヨーク、Guttmacher Institute のSusheela Singh氏が、13の発展途上国(エジプト、ナイジェリア、ウガンダ、バングラデシュ、パキスタン、フィリピン、ブラジル、チリ、コロンビア、ドミニカ共和国、グアテマラ、メキシコ、ペルー)を対象に収集したデータをまとめたもの。13か国のほかに、ブルキナファソ、ガーナ、ケニア、南アフリカのデータも若干含まれているという。
13か国のうち、術後の入院件数が最も少ないのはバングラデシュで、1000人あたり2.8人となっている。
反対に最も高いのはウガンダで1000人あたり16.4人で、次いでエジプトの15.3人となっている。この数字は公立病院で実施された手術。
■現状を反映させた正確な数字は不明
Singh氏は、調査対象国にインドが含まれていないことからも明らかなように、発展途上国における人工妊娠中絶手術の最新かつ正確な実態を把握するのはきわめて困難であり、ときには「不可能」ですらあると指摘している。
その一方で、今回のデータに如実に表れているように、手術による死亡件数の多さ、術後の健康状態の悪化には著しいものがあるとしている。
Singh氏はこうした事態を踏まえ、次のように書いている。
「人工妊娠中絶手術による死亡、術後の入院といった、本来であれば回避可能な悲劇を防止する一番の近道は、安全かつ合法的な手術を患者が利用しやすいかたちで提供することだ。発展途上国においては、今後もこれを最重要課題として追究していかねばならない」
なお、発展途上国における危険な人工妊娠中絶手術の件数は、合法・非合法を含め、年間約1900万件にのぼるという。
写真はフランスで行われた人工妊娠中絶手術の様子(2001年7月21日撮影)。(c)AFP/DIDIER PALLAGES
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