ガザ市(CNN) パレスチナ自治区ガザを支配するイスラム過激派ハマスは、自治政府を率いる穏健派でヨルダン川西岸を統治するファタハが、スパイ行為などでイスラエル軍のガザ侵攻に協力したとの非難を強めている。一方ファタハ側は、ハマスが懲罰と称してメンバーらへの銃撃を指示していると主張するが、ハマスはこれを否定している。
ハマス内務省の報道担当者はCNNとのインタビューで、「今回の戦闘では、イスラエルに加担する多数のスパイらを拘束した。今後も取り締まりを続け、刑務所や裁判所へ送り込むつもりだ」と強調。さらに「一部の派のメンバーは、ハマス指導者やメンバーの殺害に手を貸すため、イスラエル側に情報を提供していた」と、ファタハへの非難を展開した。
イスラエル軍によるガザ侵攻では、ハマス幹部のサイード・シアム内務省も殺害された。現場近くの住民によると、現場の住宅周辺では攻撃の直前、女性を含む3―4人の「スパイ」が目撃された。このグループがシアム氏の居場所を確認し、イスラエル側に伝えた可能性があるという。
ハマスと対立するファタハはイスラエルとの共存を目指す立場だが、指導者らは「スパイ行為でイスラエルへの情報提供を図った事実はない」と反論。そのうえで、22日までに少なくとも175人のメンバーが、スパイ容疑者としてハマスに拘束され、拷問を受けているとして、ハマスを非難した。
ガザ市内の主要医療機関、シファ病院の関係者によると、イスラエルとの停戦が発表された後、至近距離から銃撃を受けたとみられる患者が少なくとも6人、同病院で治療を受けた。患者らは、懲罰や抗争を理由に撃たれたと話しているという。
これに対し、ハマス内務省報道担当者は、ハマス内にファタハのメンバーらへの銃撃を指示する命令は存在しないと述べ、「撃ったのはわれわれではない。銃撃の原因は家族間のトラブルなどではないか」と話している。