京都府内の昨年1年間の振り込め詐欺の被害総額が初めて3億円を超え、過去最悪となったことが、府警捜査二課のまとめで分かった。社会保険庁の職員を名乗って還付金名目でATM(現金自動預払機)から現金を振り込ませる被害額が前年の4倍に急増したのが大きな要因だ。府警は「経済情勢の悪化に乗じた手口が増えている」と、引き続き警戒を呼び掛けている。
■不況乗じた手口増
府警によると、振り込め詐欺事件の認知件数は303件で、前年の約1・5倍。被害総額は約3億1200万円で、前年より約6000万円増えた。逮捕したのは前年より4人多い計16人だった。
手口別の被害は、融資を申し込んできた人に支払い能力があるか確認のためと称して保証金をだまし取る「融資保証金詐欺」が97件、約1億1400万円(前年比12件増、約5300万円増)。医療費などの還付と称してATMから金を振り込ませる「還付金詐欺」が78件、約7300万円(同62件増、約5500万円増)だった。
一方、架空請求詐欺の被害は79件、約6800万円(同7件増、約2900万円減)▽家族を名乗る「おれおれ詐欺」が49件、約5600万円(同21件増、約1900万円減)だった。
いずれも40代以上の被害者が多く、1件で100万円を超える被害が全体の3割の83件あったという。
■どう防ぐ
振り込め詐欺の手口は、複雑、巧妙化している。府警によると、昨年10月以降、民事訴訟の取り下げ費用として現金を振り込ませる手口が目立ち始めている。電話でのやりとりではなく、犯人が警察官や銀行協会などを名乗って被害者宅を訪れ、キャッシュカードや通帳をだまし取る手口も出てきた。
府警はホームページで、相手の連絡先を確認していったん電話を切るなど、手口ごとに被害に遭わない対処法を記している。共通しているのは▽甘い言葉は疑う▽その場で判断せず家族や警察、役所に相談する−などだ。
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