開発に着手できるようになった頃、10月10日の「ニコニコ動画RC2発表会」で「ニコスクリプト」を発表することがプロジェクト内に周知された。そして、ユーザーへのリリースは10月24日に行うことも決まった。リリースまで約1ヵ月、開発期間とサービスとして成り立つかを確認する期間も考えるとギリギリのスケジュールだった。
開発の分担は、入力されたスクリプトを解釈し、実行するスクリプトエンジン開発の担当を藤田に、藤田のスクリプトエンジンの実行結果を受け取り、プレイヤへ動作を反映させる部分を志賀にと分担することで決まった。それと並行して、ニコスクリプトからニワン語へ変換するシステムの開発を2人共同で進めていった。
一方、企画制作側では、「ニコスクリプトの入力から機能の説明までが簡単にわかる動画」をコンセプトに発表会で公開するデモの制作に取り掛かろうとしていた。ニコスクリプトの仕様が確定している全ての機能を紹介しようと決まっていたが、肝心の機能がまだ開発途中であったため、機能を再現する動画を制作しなければならないことが明らかであり、尾崎1人がメインとなって制作を進めるには、作業量と作業時間が大きすぎた。
ニコニコ事業本部 企画開発部
【坂本 将樹】
着うた、着メロなどのコンテンツの更新業務を経て、2007年10月に「ニコスクリプト」のプロジェクトに参加し、「ニコスクリプト」を最大限に利用した様々なサンプルの制作とニコスクリプトの仕様を提案。2006年新卒。
そこで、動画制作については全くの未経験だったものの、これまでの仕事ぶりから尾崎の力になるだろうと見込まれた【坂本】がプロジェクトに加わり、2人をメインにデモ制作が着手された。
ニコスクリプトの入力方法の紹介部分の制作は、仕様をそのままに紹介するため、難なく進んだ。しかし、想定された通り、機能の動画制作には時間を費やすこととなった。開発された機能の実際の動きを想像して、何度も再現動画を作っては確認するという作業の繰り返しが必要だったのである。
こうして、開発された機能により近い動画を突き詰めていった結果、無事にデモが完成し、10月10日の発表会にてニコスクリプトがお披露目となり、ニコスクリプトの詳細が明らかとなった。