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時評コラム

ニュース解説

従業員を解雇し廃業した
京品ホテル経営陣の思惑

1億円を越す営業利益を出しても廃業

 京品ホテルは1871年(明治4年)から続く名門ホテルだ。当初は旅館としてスタートし、1930年(昭和5年)に現在の4階建ての建物が建てられた。客室数は52室で、宴会場や会議室も完備している。しかしその一方で老朽化の進んだ建物は、建築基準法に抵触。改装しなければ営業ができない状態になっていたという。

 「社長は改装費には20億円必要だといっていたが、それだけの資金が調達できないといっていた」(渡辺氏)

 それでも京品ホテルがある港区高輪4丁目10番地は新幹線も停車するようになった品川駅の高輪口の駅前ロータリーに面する好立地だ。周囲のホテルは予約が取れないような盛況を誇っている。京品ホテルには日本料理の「さが野」、居酒屋「酒蔵いの字」、「とんかつ七兵衛」、「串焼き釜飯ぎやまん」などの飲食店が入っている。

 ランチ時などにはこうした飲食店に周囲のホテルの宿泊者や近隣に勤めるサラリーマンが食事に集まり、1億円以上の営業利益を上げていた。にも拘わらず、なぜ営業を続けなかったのか。

貸出債権の一本化で急浮上したリーマンブラザーズの子会社

 経営陣はホテルの老朽化とともに京品ホテルを経営する京品実業の経営実態をあげたという。

 京品実業はバブル期にさまざまな事業に手を出し失敗、負債は60億円に膨らんだ。

 しかし京品ホテルのある高輪4町目は高級住宅街といわれる高輪の中でももっとも地価が高いところだといわれている。しかも品川駅の港南口に続き、今後大規模開発が行なわれるといわれているところだ。

 しかも隣接地は高輪の再開発に意欲を燃やす京浜急行電鉄グループの「WING(ウィング)」があり、京品ホテルのすぐ後ろには品川プリンスホテルが控えている。不動産会社なら喉から手がでるような物件だ。

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