2008年(平成20年)11月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は48件で、前月比19件(28.4%)の減少、前年同月比では4件(7.7%)の減少となり、前月、前年ともに下回った。
負債額は69億9500万円。前月比では142億7800万円(67.1%)、前年同月比では94億4800万円(57.5%)それぞれ減少し、比較的近年では平穏な推移だった。
負債額10億円を超える大型倒産はなく、5億円を超える先も(株)エス・アンド・エイチ(神戸市中央区、婦人服製造、負債額9億5000万円)、(株)モトタニ(大阪市北区、紳士ニットウエア製造、負債額8億円)の2社に止まり、小規模倒産が大勢を占めた。
11月に入っても世界的な金融不安が続いており、直接的な被害を受けなかった日本でさえも円高、株価乱高下などの影響を受けている。上場企業を見ても21年3月期通期業績予想修正で大幅なダウンを発表する企業が続出するなど、これまで比較的順調とされてきた自動車や電子機器等の輸出関連、IT関連業種の業績に急ブレーキがかかっている。こうした中、流通を含めた繊維関連業種に目を向けると、大手スーパーの「円高還元セール」など消費意欲を促す要因が見られたが、そうした効果も食料品など一部の商品に限定され、さらに、10月末に政府が発表した経済対策の一つである「定額給付金支給」の問題が遅々として進まず、逆に消費ムードに水を差す結果を招いている。
今後の経済先行き見通しは更に不透明さを増しており、このところの金融機関の貸出姿勢硬化は顕著で、資金繰りに限界をきたし、事業継続を断念、経営破たんに至る弱体化した中小企業の倒産多発が懸念される。
業種別では、「小売商」15件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」12件、「ニット製品・洋品雑貨製造卸」10件で、この3業種で全体の8割弱を占め、以下「その他」5件、「染色整理・特殊加工」2件、「紡績・撚糸」「織物製造」「織物卸」「呉服・和装製品製造卸」各1件。
原因別では、「業績ジリ貧」が35件で全体の72.9%を占め、以下「業況急変」4件、「貸倒れ損失」「資金力薄弱」「放漫経営」「信用度薄弱」各2件、「過剰投資」1件。
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