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山形大病院と岡山赤十字病院
時間外選定療養費の導入効果に差
厚労省 患者の不利にならない運用を要請
2009.1.23

 時間外選定療養費の徴収に踏み切る病院が増える中で、山形大病院は軽症患者が26%の減少、徴収率3.9%と一定の効果をあげている。一方、岡山赤十字病院は、岡山市の乳幼児医療費助成制度によって6歳未満の患者が時間外選定療養費対象外にされるなど、徴収率は48.8%の高率となった。こうした状況を受け岡山赤十字病院は、小児科で「病院へのかかり方」に関するパンフレットの作成を進めるなど、時間外選定療養費の導入効果がさまざまであることが分かった。厚生労働省保険局医療課では、時間外選定療養費は、2004年時点で154病院(徴収額70円〜2万150円)とし、患者の不利にならないよう適切な運用を求めている。

●山形大病院 軽症患者の救急受診26%の減少

 山形大医学部付属病院は、昨年6月に時間外選定療養費の徴収を開始した。08年6〜12月までの軽症患者数は3156人で、対前年同月の4284人と比較して26%の減少になっている。それが、救急患者全体で見ても6カ月間で1154人、21.4%減少した。

 山形大病院は、時間外救急患者について救急患者全体では減少傾向にあるが、午後10時以降の軽症患者の比率が高いことが、救急医療スタッフの負担を重くしていた。07年度実績で軽症患者が救急患者全体に占める割合は79.9%、約8割を占めていた。

 こうした現状を打開するため同大学病院は、国立大学病院の先陣を切って「時間外診療特別料金・8400円」の徴収を決め、昨年6月から実施した。

 同大学の嘉山孝正医学部長は、導入のコンセプトについて<1>重症救急患者が適切な治療を受ける権利を守る<2>若手医師など救急医療スタッフのモチベーションを上げる−ことを目的として挙げた。特に、救急対応については医師間の診療科の偏在が存在。嘉山学部長は、「若手の医師が報われない、割に合わないと感じるようなことを、少しでも取り除いてあげたい。委縮せず診療にあたれる業務環境を提供したい」と話した。

 同学部長は、「時間外選定療養費の徴収は、健全な状況とはいえない。しかし、医療スタッフを守る責任が大学側にある」とも述べ、苦渋の選択だったとした。

 さらに、同大学病院は、時間外選定療養費の徴収に関して病院共通の判断基準のほかに、各科の特徴を踏まえた判断基準を設定している。徴収から除外される病院共通基準は、<1>紹介状によって緊急受診の必要が明記されている<2>緊急検査、処置が必要<3>外来で死亡した者<4>入院の必要がある者<5>経過観察が必要な者<6>そのほか外来受診が必要と認められた者<7>診療科ごとの独自の判断基準に基づく者−と規定。

 各科別では、例えば、内科では、<1>定期的な注射処置や、慢性疾患によって同院で通院治療中、胸痛、呼吸困難感、高熱を訴えて来院したが、検査の上、経過観察もしくは外来治療が可能であった場合<2>急に発症した胸痛、呼吸困難や、徐々に悪化している胸痛・呼吸困難に対して検査を行っても異常がなかった場合<3>動悸など脈の不整を訴えて来院したが、検査を行っても緊急処置は不要で経過検察が可能と判断された場合−などが盛り込まれた。これらは、患者の訴えを十分に考慮した形で判断基準に盛り込んでいる。このほか、外科系なども独自の判断基準を設定している。

●岡山赤十字病院 時間外選定療養費の徴収率は約49%

 一方、岡山赤十字病院は、昨年12月から時間外選定療養費の徴収に踏み切った。特に赤十字病院では、すでに徳島赤十字病院、前橋赤十字病院、山田赤十字病院が徴収を開始している。岡山赤十字病院は徳島赤十字病院と同額の3150円の徴収にした。しかし、同院の場合、社会保険事務局が、岡山市の乳幼児医療費助成制度に基づき6歳未満の患者については時間外選定療養費の徴収は不可との行政判断を通達した。

 その結果、昨年の12月1日から今年1月9日までの実績では、救急患者総数4541人に対して選定療養費算定数は2214人、48.8%に上っていることが分かった。徴収されなかった患者の中で6歳未満の患者が76%を占め、最も多くなっている。

 これまで同院では、2000年度から07年度までの間に救急外来患者数は2万5000人から4万人と増加しているのに対して、救急からの入院患者数は3300人から4000人の増加にとどまっていた。特に、軽症患者の時間外救急受診が増え、重症患者の治療に支障が見られる状況が発生した。こうした状況にかんがみ、近藤捷嘉院長は昨年12月から時間外選定療養費の導入を決断した。

●地域住民へのPR効果が重要

 救急外来患者数は、昨年11月の1日当たり83.2人が、12月には1日当たり85.9人に増加してしまった。しかし、年末・年始救急外来患者数は、昨年末の12月27日から今年1月4日までの推移を見ると、深夜帯の1日当たりの救急外来患者数は32.3人で、対前年(07年12月29日〜08年1月3日)の35.8人に比べ、若干の改善が見られている。

 近藤捷嘉院長は、「救急外来患者数の減少という状況にはまだない。ただ、当院が救命救急センターであり、重症患者を優先的に治療を行う病院であることへの地域住民の理解は進んでいる」とし、病院機能の明確化には一定の効果があったと話した。

●小児患者対策でパンフ作成へ

 特に、6歳未満の受診行動に対して同院では、小児科が中心となって病院のかかり(受診)方に関するパンフレットを作成中だ。近藤院長は、「3150円が高額ではないかと懸念したが、結果を見れば、支払ってでも安心したいとの住民の考えが反映した格好だ」と述べ、今後も継続して時間外救急外来の在り方について啓発活動を進めていく考えだ。
(写真=山形大病院)


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