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地球温暖化:南極大陸も 10年ごとに0.12度--米ワシントン大分析

 ◇50年間の気温、初めて算出 「寒冷化」論争に一石

 「唯一温暖化していない大陸」と言われる南極も気温が上昇傾向にあることが、米ワシントン大などの分析で初めて分かった。過去50年間は、10年に約0・12度のペースで上昇している。地球の気温は100年間で0・74度上昇したが「それに匹敵する水準」と結論づけている。22日付の英科学誌ネイチャーに発表した。【田中泰義】

 南極大陸は他の大陸から遠いうえ、日本列島の30倍以上広く、過酷な自然環境に阻まれて観測が難しい。北極圏より温暖化の影響を受けにくいと考えられ、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は07年の報告書で「南極以外の大陸は温暖化している」とし「氷床の大規模な融解は起こらない」と指摘した。

 研究チームは過去25年間の衛星観測データと、昭和基地など42地点の過去約50年間の記録を使った。両者を比較・補完し、57~06年の南極の平均気温を算出した。

 その結果、南極の西側では10年に0・17度ずつ上昇し、冬~春(6~11月)に限ると約0・5度も高くなっていた。大陸全体では10年に0・12度の上昇率だった。研究チームは二酸化炭素の増加が原因と指摘し、「オゾンホールが縮小して(温室効果のある)オゾン層が回復すると、温暖化はさらに加速する」と予測した。

 南極では「寒冷化している」と主張する研究者もおり、温暖化をめぐる論争が激しい。IPCC報告書作成に参画した山内恭・国立極地研究所教授(極域気候学)は「南極の観測値は変動が大きいため、期間をどう取るかで結果が左右されやすい。影響力の大きい雑誌に発表して論争の決着を狙ったのだろうが、論争は活発化するだろう。南極大陸の気候変動は海面上昇など地球規模で影響を与えるので、観測体制の強化が必要だ」と話す。

毎日新聞 2009年1月22日 東京朝刊

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