国連運営の学校の近くに着弾した爆弾の破片=ジャバリヤ難民キャンプ、田井中写す
【ジャバリヤ難民キャンプ(ガザ北部)=田井中雅人】パレスチナ自治区ガザで今月6日、イスラエル軍が国連運営の学校付近を攻撃し、46人が犠牲になった。その現場を20日、訪れた。イスラエル側は当初、イスラム過激派ハマスが学校内から迫撃砲で攻撃してきたことへの反撃と主張していたが、避難民や学校関係者らは「卑劣な無差別攻撃だった」と証言した。
ガザ北部のジャバリヤ難民キャンプ内にあるアルファホラ学校は今月5日から、イスラエル軍の爆撃で家を失った人たちの避難所になり、当初は1920人の避難民でごった返していた。
「国連の学校なら安全と信じていたのに」。ヤセル・マールフさん(35)は、5日に約3キロ北方のベイトラヒヤから家族で逃げてきた。翌6日午後3時45分ごろ、イスラエル軍のF16戦闘機が学校の上空を超低空飛行。多数の無人攻撃機も飛来したかと思った瞬間、学校周辺に相次いで爆弾が着弾したという。イスラエル軍は地上からの砲撃だったとしている。
爆風で一帯に破片が飛び散り、校庭にいたマールフさんの娘マハさん(16)の左足はちぎれ、全身に無数の破片を浴びた息子ハイダル君(11)とともに即死した。
同校の教師バッサム・サルハさん(43)は、パニック状態の避難民らと学校の外に駆け出した。爆弾が着弾した学校脇の路上には、教え子らを含む住民の遺体が散乱していた。サルハさんは「この学校に8年いるが、戦闘員や武器を入れない国連のルールは守られている。そもそも、避難民がぎっしりの学校からどうやって迫撃砲を撃つのか」と憤る。
付近には同日午後6時ごろにも砲撃があった。避難民サミ・ガブンさん(27)は「大きな爆音がして閃光(せんこう)が走ったかと思うと、無数の白い煙の筋と光る破片が舞い降りてきた」。白煙と吐き気がするにおいが立ちこめ、息ができず、避難民らはぬれたタオルを口にあてて逃げまどった。大やけどをしたり、目が見えなくなったりした人もいる。国際的な批判が高い「白リン弾」だと避難民らは疑う。
学校近くの民家にも爆弾2発が直撃した。壁に大きな穴があき、ファデル・ディーブさん(19)の母親(36)ら家族10人が死亡。屋上には、パレスチナでハマスと対立する穏健派ファタハの黄色い旗を掲げていた。ディーブさんは「ハマスの拠点は3キロ以上離れている。イスラエル軍の誘導弾の精度は、よほど悪いのだろう」と皮肉った。
学校側によると校内で3人、学校周辺で43人の計46人が死亡した。校内には今も863人が身を寄せ、授業再開のめどはたっていない。