【ガザ市(パレスチナ自治区)澤田克己】国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)ガザ本部事務所のジョン・ギング所長は19日、イスラエル軍の攻撃を受けたガザ市内の事務所で毎日新聞と会見した。所長は「イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの双方に戦争犯罪を犯した多くの疑惑がある」と指摘し、独立した調査官による徹底した捜査を行うよう求めた。
ギング所長によると、同事務所に対する最初の攻撃は15日午前10時半。3発の砲弾が敷地内に着弾したため、イスラエル軍に抗議し、「二度と攻撃しない」と約束させた。しかし、同11時には再び攻撃が始まり、事務所内の倉庫に10発の砲弾が撃ち込まれた。
2回目の攻撃では、空気と反応して激しく燃える白リン弾が使用されたために大きな火災が発生し、倉庫内にあった人道支援物資すべてを失った。物資輸送用トラックの補修部品や消耗品の備蓄もすべて焼失したため、トラックが故障しても自分たちで修理できない状況になったという。
18日の停戦発効後も、イスラエルはガザとの検問所を1カ所しか開けていないため、人道支援物資の補給は順調に進んでいない。ギング所長は「現状では1日に必要な量の25%分しか輸送できていない」と指摘。人道支援物資のスムーズな輸送のため、イスラエル側に多くの検問所を早く再開するよう求めた。
毎日新聞 2009年1月21日 東京朝刊