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がれきの山、病院には順番待ちの列…ガザ南端の街

2009年1月20日1時8分

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写真崩れ落ちた家の前でたきぎを拾う女性=19日、ガザ南部ラファ、田井中写す

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写真がれきと化した建物の脇を走る馬車。家財道具を満載していた=ガザ南部ラファ、田井中写す

写真倉庫に撃ち込まれたロケット弾の弾頭を踏みつける男性ら=ガザ南部ラファ、田井中写す

写真パレスチナ自治区ガザ南部のラファで19日、イスラエルの攻撃で破壊された建物を見るパレスチナ人=ロイター

 【ラファ(パレスチナ自治区ガザ南端)=田井中雅人】イスラエル軍の23日間に及ぶ攻撃を受けたパレスチナ自治区ガザ。地中海に近く、かつては貿易都市として栄えたラファの街は、がれきの山に変わり果てていた。19日、エジプト側から検問所を抜け、高い壁に囲まれたガザの内部に入った。

 「人生最悪の3週間だった。生きた心地がしなかった」。エジプトとの境界に近いラファ南部に住むバッサム・マスリさん(36)は、ひしゃげて重ねモチのようになった自宅の前で天を仰いだ。

 3世代の親族が一緒に住む5階建てのビルは「停戦」目前の16日の空爆で破壊された。「すべてを失ってしまった。親族25人、どうやって生きていけばいいのか」

 コートを着ていても冷気が肌に食い込む毎日。だが空爆中は毎晩、窓をあけて寝ていた。爆風でガラスが割れ、けがをするからだ。

 何機もの戦闘機が昼も夜も、爆弾を落としていった。「停戦入りがわかっていたから駆け込みで撃ちまくったのではないか」と憤る。夜は知人の家で折り重なるように寝ている。

 エジプト側との十数キロにわたる境界壁沿いには、空爆による穴が無数に開いている。イスラム過激派ハマスが武器密輸に使う地下トンネル網があるとして、イスラエル軍が連日、F16戦闘機で爆撃したつめ跡だ。街を歩くと、モスク(イスラム教礼拝所)や民間の家屋、学校などあらゆる建物が爆撃でがれきの山となっている。

 崩れた建物の前で、たき火をしていたムハンマド・アブジャリさん(38)は「私は今回の戦闘で、ハマスを強く支持するようになった。イスラエルと対抗できるのは、ハマスしかない」と言って、ハマスの緑色の旗を掲げた。

 イスラエルとハマスの「停戦」を受け、ラファは今、静まりかえっている。時折、青空に無人偵察機のブーンという音が聞こえるだけだ。検問所からは支援物資を満載したトラックや医師を乗せた救急車が次々と走り込んでくる。

 ラファ市立病院。50のベッドは満床で負傷者らを収容しきれず、順番待ちの列ができている。救命救急室(ER)には空爆の負傷者らが、ベッドの数と同じ50人ほど、毎日運ばれてきたが、寝かせるベッドがなかった。

 ガザ入りしている日本人医師、桑山紀彦さん(45)は「停電が頻繁に起こり安定した治療が難しい。抗生物質も足りない。空爆の影響で血圧が上がるお年寄りや、十分に水が飲めないでいる脱水症状の子が次々と運ばれてくる」と話す。

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