2009.01.19
親父が倅に完敗した日…倅と極真空手(最終完全版)
もうｸﾞﾛｯｷｰです!!
思い起こせば倅と一緒に<親子稽古>を始めたのが15年前｡幼稚園児の倅が極真会館に入門した時からでした｡通う道場は遠く､稽古に出られるのは週に2回が限度｡
そこで平日に1回､日曜日は朝からみっちり2時間､基本からsparringまで､毎週欠かさず続けたものです｡sparringでは､ﾍｯﾄﾞｶﾞｰﾄﾞからﾎﾞﾃﾞｨﾌﾟﾛﾃｸﾀｰ､そして拳から肘､膝､ｽﾈ､足の甲までｻﾎﾟｰﾀｰで完全装備､まるでﾛﾎﾞｯﾄのような倅を私は容赦なく打ちすえました｡
勿論､この<親子稽古>が効を博して後に､城西内の少年大会3連覇､全日本少年大会で準優勝が出来たなどとは思っていません｡
ところで倅は小学校入学と同時に浅草道場から城西国分寺道場に移籍しました｡自宅を引っ越したが為に浅草に通うのに極めて交通の便が悪くなってしまったというのが最大の理由です｡
また当時､総本部(大山総裁の空手観)の影響が強かった浅草道場では､少年部の稽古で殆ど組手的な稽古を行っていませんでした｡一方､黒澤浩樹や小笠原和彦､川本英児など多くの友人が在籍していた城西支部は少年や女子の部内大会を開くなど､少年部の稽古でも一般部同様に組手に直結する合理的な練習を導入していました｡
城西支部を<ﾁｬﾝﾋﾟｵﾝ製造工場>と呼ばれるまでの最強集団に育て上げた名伯楽･山田雅稔支部長とも懇意にさせて頂いていた事もあり､彼のｱﾄﾞﾊﾞｲｽに従って江口分支部長が率いる国分寺道場に移る事にしたのです｡
江口は面倒見が良く､また奥様の美幸さんも選手志向が強かった関係で､国分寺道場には多くの少年部の生徒が通い､<受け返し>や<約束組手>など実戦に直結した稽古が合理的に行われていました｡
倅は江口の下で急激に実力をつけていきました｡浅草道場時代､たまに行う組手ではいつも泣きべそをかき､ﾊﾟﾝﾁひとつまともに出せなかった倅が､たった数ｶ月の間にまるで別人の如く自信に溢れた表情を浮かべるようになりました｡倅に試合･大会への出場を奨めてくれたのも江口であり､結果的に倅が好成績を残せたのも江口夫婦の指導の賜物である事は言うまでもありません｡
更に今でも江口に感謝しているのは､少年部の試合ﾙｰﾙに沿った技術だけではなく､あくまで一般部に進んでからも通用するｵｰｿﾄﾞｯｸｽな<城西ｽﾀｲﾙ>とも言えるﾛｰｷｯｸ､中段回し蹴りとﾊﾟﾝﾁを重視し､ｻｲﾄﾞにｽﾃｯﾌﾟして攻撃する技術を徹底的に仕込んでくれた事です｡
少年部の試合はﾍｯﾄﾞｶﾞｰﾄﾞを着用し､特に上段回し蹴りが頭部にﾋｯﾄしさえすれば｢技あり｣という､ﾎﾟｲﾝﾄﾙｰﾙに近いものです｡ですから試合に勝とうと思えば､何よりも上段を蹴る練習が中心になり､中には<掛け逃げ>といって､反撃を怖れるが故に蹴ると同時に倒れ込むといった､本来の実戦空手とは矛盾する卑怯な技術を積極的にやらせる指導者が(特に他流派)少なからずいたものです｡もし､そんな技術を駆使して少年大会で好成績を修められたとしても､一般部では全く通用しない事は自明です｡その点､倅の得意技は下段蹴りでした｡
これについては黒澤浩樹の存在が倅に大きな影響を与えたのは間違いありません｡黒澤も江口同様､城西所属だった縁から､暇を見つけては度々倅に稽古をつけてくれました｡大会では黒澤が倅のｾｺﾝﾄﾞについた程です｡黒澤に憧れ抜いていた倅は､稽古のsparringでも試合でも､<黒澤浩樹の子供版>とも言える戦いをしては周囲を沸かせたものでした｡
(少年部時代の倅)
閑話休題｡
私が<親子稽古>で行うﾒﾆｭｰは基本的に道場で指導される練習の復習が主でした｡道場で指導しない事は教えない! 空手の稽古の主体はあくまで道場であり､<親子稽古>はそれを補足するものだと私は自分に言い聞かせていました｡これを大前提に､基礎体力の養成やsparringのｲﾛﾊ(江口や黒澤の教えに則った戦法)を繰り返し体に覚えこませるというのが､当時の私の指導でした｡
それでも倅にとって<親子稽古>は実に厳しかったはずです｡倅は毎回のように悔し涙を堪えながら､それでも1度でさえ稽古から逃げたり挫けたりする事はありませんでした｡
ところで､私は倅がまだ小学校に入る前から中学は私立と決めていました｡機会あるごとに書いているように､私は公立小･中学校の教師を一切信用していません｡また可能ならば中･高･大の一貫したｴｽｶﾚｰﾀ式の学校に入れようと考えていました｡
公立中学に入ると半強制的に部活動に入れられ､また高校受験が控えています｡その為､殆どの少年部の生徒は中学生になると道場から離れていくのが現状です｡その傾向は高校に入ってからも変わりません｡私は､高校や大学の受験勉強に煩わされず､また部活動で貴重な時間を割かれる事もなく､倅にはずっと極真空手(格技)を続けさせたいという思いがありました｡
そんな訳で､倅は一旦小学5年で道場を休会し､私立中学受験の為に猛勉強を開始しました｡ただ､それでも週に2回の<親子稽古>だけは欠かしませんでした｡少しでも空手の勘が鈍るのを防ぎたいと思ったからです｡また､この頃になると､<親子稽古>は私と倅の大切なｺﾐｭﾆｹｰｼｮﾝの場にもなっていました｡
思い起こせば倅と一緒に<親子稽古>を始めたのが15年前｡幼稚園児の倅が極真会館に入門した時からでした｡通う道場は遠く､稽古に出られるのは週に2回が限度｡
そこで平日に1回､日曜日は朝からみっちり2時間､基本からsparringまで､毎週欠かさず続けたものです｡sparringでは､ﾍｯﾄﾞｶﾞｰﾄﾞからﾎﾞﾃﾞｨﾌﾟﾛﾃｸﾀｰ､そして拳から肘､膝､ｽﾈ､足の甲までｻﾎﾟｰﾀｰで完全装備､まるでﾛﾎﾞｯﾄのような倅を私は容赦なく打ちすえました｡
勿論､この<親子稽古>が効を博して後に､城西内の少年大会3連覇､全日本少年大会で準優勝が出来たなどとは思っていません｡
ところで倅は小学校入学と同時に浅草道場から城西国分寺道場に移籍しました｡自宅を引っ越したが為に浅草に通うのに極めて交通の便が悪くなってしまったというのが最大の理由です｡
また当時､総本部(大山総裁の空手観)の影響が強かった浅草道場では､少年部の稽古で殆ど組手的な稽古を行っていませんでした｡一方､黒澤浩樹や小笠原和彦､川本英児など多くの友人が在籍していた城西支部は少年や女子の部内大会を開くなど､少年部の稽古でも一般部同様に組手に直結する合理的な練習を導入していました｡
城西支部を<ﾁｬﾝﾋﾟｵﾝ製造工場>と呼ばれるまでの最強集団に育て上げた名伯楽･山田雅稔支部長とも懇意にさせて頂いていた事もあり､彼のｱﾄﾞﾊﾞｲｽに従って江口分支部長が率いる国分寺道場に移る事にしたのです｡
江口は面倒見が良く､また奥様の美幸さんも選手志向が強かった関係で､国分寺道場には多くの少年部の生徒が通い､<受け返し>や<約束組手>など実戦に直結した稽古が合理的に行われていました｡
倅は江口の下で急激に実力をつけていきました｡浅草道場時代､たまに行う組手ではいつも泣きべそをかき､ﾊﾟﾝﾁひとつまともに出せなかった倅が､たった数ｶ月の間にまるで別人の如く自信に溢れた表情を浮かべるようになりました｡倅に試合･大会への出場を奨めてくれたのも江口であり､結果的に倅が好成績を残せたのも江口夫婦の指導の賜物である事は言うまでもありません｡
更に今でも江口に感謝しているのは､少年部の試合ﾙｰﾙに沿った技術だけではなく､あくまで一般部に進んでからも通用するｵｰｿﾄﾞｯｸｽな<城西ｽﾀｲﾙ>とも言えるﾛｰｷｯｸ､中段回し蹴りとﾊﾟﾝﾁを重視し､ｻｲﾄﾞにｽﾃｯﾌﾟして攻撃する技術を徹底的に仕込んでくれた事です｡
少年部の試合はﾍｯﾄﾞｶﾞｰﾄﾞを着用し､特に上段回し蹴りが頭部にﾋｯﾄしさえすれば｢技あり｣という､ﾎﾟｲﾝﾄﾙｰﾙに近いものです｡ですから試合に勝とうと思えば､何よりも上段を蹴る練習が中心になり､中には<掛け逃げ>といって､反撃を怖れるが故に蹴ると同時に倒れ込むといった､本来の実戦空手とは矛盾する卑怯な技術を積極的にやらせる指導者が(特に他流派)少なからずいたものです｡もし､そんな技術を駆使して少年大会で好成績を修められたとしても､一般部では全く通用しない事は自明です｡その点､倅の得意技は下段蹴りでした｡
これについては黒澤浩樹の存在が倅に大きな影響を与えたのは間違いありません｡黒澤も江口同様､城西所属だった縁から､暇を見つけては度々倅に稽古をつけてくれました｡大会では黒澤が倅のｾｺﾝﾄﾞについた程です｡黒澤に憧れ抜いていた倅は､稽古のsparringでも試合でも､<黒澤浩樹の子供版>とも言える戦いをしては周囲を沸かせたものでした｡
(少年部時代の倅)
閑話休題｡
私が<親子稽古>で行うﾒﾆｭｰは基本的に道場で指導される練習の復習が主でした｡道場で指導しない事は教えない! 空手の稽古の主体はあくまで道場であり､<親子稽古>はそれを補足するものだと私は自分に言い聞かせていました｡これを大前提に､基礎体力の養成やsparringのｲﾛﾊ(江口や黒澤の教えに則った戦法)を繰り返し体に覚えこませるというのが､当時の私の指導でした｡
それでも倅にとって<親子稽古>は実に厳しかったはずです｡倅は毎回のように悔し涙を堪えながら､それでも1度でさえ稽古から逃げたり挫けたりする事はありませんでした｡
ところで､私は倅がまだ小学校に入る前から中学は私立と決めていました｡機会あるごとに書いているように､私は公立小･中学校の教師を一切信用していません｡また可能ならば中･高･大の一貫したｴｽｶﾚｰﾀ式の学校に入れようと考えていました｡
公立中学に入ると半強制的に部活動に入れられ､また高校受験が控えています｡その為､殆どの少年部の生徒は中学生になると道場から離れていくのが現状です｡その傾向は高校に入ってからも変わりません｡私は､高校や大学の受験勉強に煩わされず､また部活動で貴重な時間を割かれる事もなく､倅にはずっと極真空手(格技)を続けさせたいという思いがありました｡
そんな訳で､倅は一旦小学5年で道場を休会し､私立中学受験の為に猛勉強を開始しました｡ただ､それでも週に2回の<親子稽古>だけは欠かしませんでした｡少しでも空手の勘が鈍るのを防ぎたいと思ったからです｡また､この頃になると､<親子稽古>は私と倅の大切なｺﾐｭﾆｹｰｼｮﾝの場にもなっていました｡
しかし倅が中学に入学した後､私は直ぐに倅を空手に復帰させる事はしませんでした｡中学･高校という多感な成長期には､後々の空手に生かす為にも他の格技を学ばせる方がいいと思ったからです｡私自身､柔道や柔術､boxingの経験が大学から始めた極真空手に大きくﾌﾟﾗｽになったと確信しています｡
ｽﾎﾟｰﾂ､特に格技には<競技生命>というものが存在するというのが私の持論です｡それは年齢とは殆ど関係ありません｡肉体を鍛え上げるだけでなく､常に緊張感や集中力､更に闘争本能を必要とする格技は､その厳しさ故に､本格的に学べる時期は10年程度だと私は思っています｡人間の精神は20年も30年も､特に競技試合を戦い続けられる程､強靭には出来ていないものです｡
現･極真会館館長である松井章圭が世界大会で頂点を極め､年齢的にはまだこれからだという周囲の声に反して潔く選手引退を決意したのは､まさに正しい選択だったと私は思っています｡
松井は中学入学直後､極真会館に入門しました｡天才的な能力故に早くから選手として頭角を現し､高校生(16歳)にして早くも全日本大会に入賞｡その後の活躍は広く知られている通りです｡しかし彼の約10年間に及ぶ選手生活は､｢たったの10年｣とはいうものの確実に<競技生命>を蝕んでいったに違いありません｡
私は<武道>という言葉が好きではありません｡しかし､選手としての競技生活から一線を引き､命のやり取りまで想定する本来の武術格技としての空手の道を追究するのならば､まさに生涯を懸けるに価すべきものでしょう｡その意味で､齢60を越えた今でも修行の毎日を送る盧山初雄極真館館長はまさに本物の武道家と言っても過言ではありません｡
しかし､選手として試合を目指して格技に接するならば<競技生命>を無視する事は極めて無謀だと私は思っています｡そして倅には､幼稚園児で極真会館に入門したからこそ､肉体的に最高潮を迎える時期に､<競技生命>も全盛期を迎えられるようにしてやりたいと私は考えていたのです｡
再び話は<親子稽古>に戻ります｡
そんな訳で､倅は中学･高校と極真に戻る事なく､柔道､boxingを学ぶ事になりました｡講道館に通い始めてからはﾌﾟﾂﾘと<親子稽古>は途絶えました｡高校からは柔道に加えてﾖﾈｸﾗｼﾞﾑでboxingも始めました｡私は敢えて柔道やboxingの練習だけは強制せず倅の自由に任せようと思ったのです｡ですから柔道もboxingも､私は1度も倅に指導した事はありません｡
一方で､私は独りだけでweight-trainningをしたり､空手や柔術の自主ﾄﾚを定期的に続けていました｡だから､<親子稽古>が途絶えたとはいえ､日曜日など1時間弱ながら倅とともに<受け返し>やｼｬﾄﾞｰ､軽いsparringなどを断続的に続けていた事もまた事実です｡
しかし昨年｡大学に入り､倅は松井館長と山田師範の計らいで再び極真会館城西に復帰しました｡
こうして私たちは<親子稽古>を再開する事になるのです｡週に3回｡2日はweight-trainningとcircuitｰtrainning､1日は空手のskillｰtrainningが基本です｡
極真空手に復帰して既に1年半､今倅は<金線>が1本入った黒帯を堂々と締めています｡勿論､もうsparringでは倅にかないません｡相手にならないと言った方が正確でしょう｡しかし､数年のﾌﾞﾗﾝｸがありながら約30年間続けてきたweight-trainningだけは､倅もなかなか私に追い付く事が出来ませんでした｡ちなみに､倅には高校入学後から私の自主ﾄﾚに参加させ､weight-trainningの基礎を学ばせてはいました｡
いつしか倅はbenchｰpressで100kgを挙げるようになりました｡それでもまだ､私は115kg程度はｸﾘｱしていました｡その後､肩を傷めた私は､医師から100kg以上挙げる事を禁じられる事になりますが…｡しかし体調がいい時は医師の忠告を無視し､常に100kgは挙げ続けました｡またcarlやRowingなど他の種目ならば､倅には不可能な高重量で､倅の倍のset数をこなしていました｡
恥ずかしい話ながら､私にとってはweight-trainningだけが倅に先んじられる<最後の砦>だったのです｡
しかし､とうとう何もかも倅に追い抜かれる日がやってきました｡
昨年夏､倅は私の最高記録である125kgをbenchｰpressで挙げてしまいました｡そして､程なく130kgを成功させ､暮れには何と140kgにまで記録を伸ばしました｡私はこの30年､常に100kgのﾗｲﾝを死守しようと肉体をﾎﾞﾛﾎﾞﾛにしながらtrainningを続けてきたのです｡にもかかわらず､倅の成長の凄まじさに私はたじろぐ事しか出来ませんでした｡
もう何もかも私は倅に敵わなくなっていたのです｡
年末年始､仕事の関係で昼夜逆転の生活が続いている私は､腰や背中の痛みもあって体調が優れない日々を送ってきました｡仕事するか寝ているか…､そんな生活を送る事が多くなった私は､稽古も最低限に抑えていました｡
それでも先日､久し振りに倅のweight-trainningに付き合いました｡<親子稽古>の名目でのtrainningでしたが､ここで倅から<格>の違いをはっきりと見せ付けられました｡
負け惜しみを言うならば､この半世紀を生きた私だってbenchｰpressを何とか100kgを2回､2setも挙げたのです｡しかし倅は､145kgを2setもｸﾘｱしてしまいました｡ｸｰﾙﾀﾞｳﾝは80kgを30回挙げ下げして平気な顔です｡
<本業>の空手=組手も､昨年秋から定期的に某師範の個人指導を受けるようになってから…ﾏﾝﾂｰﾏﾝによる<地獄>の如く厳しい稽古を耐えながら､この3ｶ月で目覚ましく成長しています｡
嬉しいような寂しいような…｡男にとって倅に追い越される事は<願い>であり<夢>でもあります｡とは言え負けたくないのも､また男の意地なのです｡
まだまだ負けても諦める事はしたくないと…､<超実戦>ならば一瞬で勝てる!! などと戯言を並べるどこまでも勝ち気な私です｡
(benchｰpressで145kgの新記録を出した倅)
(血は争えず…｡ｹﾝｶも負け知らずのﾔﾝﾁｬ坊主)
(了)
ｽﾎﾟｰﾂ､特に格技には<競技生命>というものが存在するというのが私の持論です｡それは年齢とは殆ど関係ありません｡肉体を鍛え上げるだけでなく､常に緊張感や集中力､更に闘争本能を必要とする格技は､その厳しさ故に､本格的に学べる時期は10年程度だと私は思っています｡人間の精神は20年も30年も､特に競技試合を戦い続けられる程､強靭には出来ていないものです｡
現･極真会館館長である松井章圭が世界大会で頂点を極め､年齢的にはまだこれからだという周囲の声に反して潔く選手引退を決意したのは､まさに正しい選択だったと私は思っています｡
松井は中学入学直後､極真会館に入門しました｡天才的な能力故に早くから選手として頭角を現し､高校生(16歳)にして早くも全日本大会に入賞｡その後の活躍は広く知られている通りです｡しかし彼の約10年間に及ぶ選手生活は､｢たったの10年｣とはいうものの確実に<競技生命>を蝕んでいったに違いありません｡
私は<武道>という言葉が好きではありません｡しかし､選手としての競技生活から一線を引き､命のやり取りまで想定する本来の武術格技としての空手の道を追究するのならば､まさに生涯を懸けるに価すべきものでしょう｡その意味で､齢60を越えた今でも修行の毎日を送る盧山初雄極真館館長はまさに本物の武道家と言っても過言ではありません｡
しかし､選手として試合を目指して格技に接するならば<競技生命>を無視する事は極めて無謀だと私は思っています｡そして倅には､幼稚園児で極真会館に入門したからこそ､肉体的に最高潮を迎える時期に､<競技生命>も全盛期を迎えられるようにしてやりたいと私は考えていたのです｡
再び話は<親子稽古>に戻ります｡
そんな訳で､倅は中学･高校と極真に戻る事なく､柔道､boxingを学ぶ事になりました｡講道館に通い始めてからはﾌﾟﾂﾘと<親子稽古>は途絶えました｡高校からは柔道に加えてﾖﾈｸﾗｼﾞﾑでboxingも始めました｡私は敢えて柔道やboxingの練習だけは強制せず倅の自由に任せようと思ったのです｡ですから柔道もboxingも､私は1度も倅に指導した事はありません｡
一方で､私は独りだけでweight-trainningをしたり､空手や柔術の自主ﾄﾚを定期的に続けていました｡だから､<親子稽古>が途絶えたとはいえ､日曜日など1時間弱ながら倅とともに<受け返し>やｼｬﾄﾞｰ､軽いsparringなどを断続的に続けていた事もまた事実です｡
しかし昨年｡大学に入り､倅は松井館長と山田師範の計らいで再び極真会館城西に復帰しました｡
こうして私たちは<親子稽古>を再開する事になるのです｡週に3回｡2日はweight-trainningとcircuitｰtrainning､1日は空手のskillｰtrainningが基本です｡
極真空手に復帰して既に1年半､今倅は<金線>が1本入った黒帯を堂々と締めています｡勿論､もうsparringでは倅にかないません｡相手にならないと言った方が正確でしょう｡しかし､数年のﾌﾞﾗﾝｸがありながら約30年間続けてきたweight-trainningだけは､倅もなかなか私に追い付く事が出来ませんでした｡ちなみに､倅には高校入学後から私の自主ﾄﾚに参加させ､weight-trainningの基礎を学ばせてはいました｡
いつしか倅はbenchｰpressで100kgを挙げるようになりました｡それでもまだ､私は115kg程度はｸﾘｱしていました｡その後､肩を傷めた私は､医師から100kg以上挙げる事を禁じられる事になりますが…｡しかし体調がいい時は医師の忠告を無視し､常に100kgは挙げ続けました｡またcarlやRowingなど他の種目ならば､倅には不可能な高重量で､倅の倍のset数をこなしていました｡
恥ずかしい話ながら､私にとってはweight-trainningだけが倅に先んじられる<最後の砦>だったのです｡
しかし､とうとう何もかも倅に追い抜かれる日がやってきました｡
昨年夏､倅は私の最高記録である125kgをbenchｰpressで挙げてしまいました｡そして､程なく130kgを成功させ､暮れには何と140kgにまで記録を伸ばしました｡私はこの30年､常に100kgのﾗｲﾝを死守しようと肉体をﾎﾞﾛﾎﾞﾛにしながらtrainningを続けてきたのです｡にもかかわらず､倅の成長の凄まじさに私はたじろぐ事しか出来ませんでした｡
もう何もかも私は倅に敵わなくなっていたのです｡
年末年始､仕事の関係で昼夜逆転の生活が続いている私は､腰や背中の痛みもあって体調が優れない日々を送ってきました｡仕事するか寝ているか…､そんな生活を送る事が多くなった私は､稽古も最低限に抑えていました｡
それでも先日､久し振りに倅のweight-trainningに付き合いました｡<親子稽古>の名目でのtrainningでしたが､ここで倅から<格>の違いをはっきりと見せ付けられました｡
負け惜しみを言うならば､この半世紀を生きた私だってbenchｰpressを何とか100kgを2回､2setも挙げたのです｡しかし倅は､145kgを2setもｸﾘｱしてしまいました｡ｸｰﾙﾀﾞｳﾝは80kgを30回挙げ下げして平気な顔です｡
<本業>の空手=組手も､昨年秋から定期的に某師範の個人指導を受けるようになってから…ﾏﾝﾂｰﾏﾝによる<地獄>の如く厳しい稽古を耐えながら､この3ｶ月で目覚ましく成長しています｡
嬉しいような寂しいような…｡男にとって倅に追い越される事は<願い>であり<夢>でもあります｡とは言え負けたくないのも､また男の意地なのです｡
まだまだ負けても諦める事はしたくないと…､<超実戦>ならば一瞬で勝てる!! などと戯言を並べるどこまでも勝ち気な私です｡
(benchｰpressで145kgの新記録を出した倅)
(血は争えず…｡ｹﾝｶも負け知らずのﾔﾝﾁｬ坊主)
(了)
samurai_mugen at 03:16
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