【エルサレム=井上道夫】パレスチナ自治区ガザへの攻撃を停止したイスラエル軍は18日、一部の地上部隊の撤退を始めた。オルメルト暫定首相も同日の会見で「できるだけ早く撤退させたい」と述べた。イスラエルは今後、ガザを支配するイスラム過激派ハマスの出方を見据えたうえで、駐留規模の縮小や完全撤退の時期を検討するものとみられる。
イスラエル軍の報道担当者は朝日新聞に対し、「軍は徐々に撤退を始めている」と語った。またAFP通信は、ガザ市周辺に展開していたイスラエル軍の戦車や歩兵が、境界線に向けて撤退を始めたと伝えた。
同通信などによると、オルメルト氏は、ガザ情勢を協議するため同国を訪問したサルコジ仏大統領ら欧州首脳との共同会見で「我々はガザにとどまることを望んでいない。情勢が安定すれば、軍を撤退させる」と語った。
一方、イスラエル軍の1週間以内の撤退やガザの封鎖解除を要求し、18日に停戦に入ったハマスのハニヤ首相は同日のテレビ演説で「敵(イスラエル)は目的に達することに失敗した。民衆の勝利だ」と述べた。また、ハマス側の停戦表明については「思慮ある、責任をわきまえた判断」と語った。
ただ、イスラエル軍が1週間以内の完全撤退や封鎖解除に応じるかは不明。要求が満たされなければハマス側が攻撃を再開する可能性もあり、安定的な停戦が実現するかどうかは予断を許さない状況だ。