【エルサレム=井上道夫】パレスチナ自治区ガザへの攻撃を巡り、イスラエル政府は17日夜(日本時間18日未明)に治安閣議を開く。イスラエルの主要メディアは、ガザを支配するイスラム過激派ハマスとの合意なしの一方的停戦を採択すると伝えた。ただし、攻撃を中断するだけで、ガザへの駐留は続けるという。
閣議終了後、オルメルト暫定首相が記者会見し、国民に向け一方的停戦を宣言する予定という。一方、ハマスは、仲介役のエジプトと協議を続けており、エジプト案での合意を目指している。
エジプトのムバラク大統領は17日、テレビ演説し、イスラエルに即時無条件の停戦とガザからの完全撤退を求めた。仲介する停戦協議で双方が合意に達する前にイスラエルが一方的停戦を宣言し、ガザに軍駐留を続ける構えを見せていることを牽制(けんせい)する動きとみられる。
これまでイスラエルは、ハマスの武器密輸を阻止する体制が整うまでは停戦しない姿勢を維持してきた。だが、16日にリブニ外相が訪米し、米国から武器密輸を防ぐ体制作りの確約を得たことで、一方的停戦に踏み切る議論の土壌になったとみられる。
イスラエルには、相次ぐ国連施設への攻撃で高まる国際社会の批判をかわす狙いもある。だが、AFP通信などによると、イスラエル軍はハマスが攻撃を続行した場合に備え、しばらくガザから撤退せず、反撃する態勢を維持するものとみられる。
また、エジプトの調停でハマスと合意を結べば、「テロリスト」扱いしているハマスを政治的に認めることになる。この事態を避けることも一方的停戦に傾いた理由の一つと考えられる。
一方、ハマスの在レバノン幹部ハムダン氏は17日、AFP通信に対し「イスラエル軍が一方的停戦を宣言しても、ガザから撤退しない限り攻撃を続ける」と反発している。