昨年の振り込め詐欺はATMからの送金を指示する手口が増加した=昨年10月、JR金沢駅
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県内で昨年一年間の振り込め詐欺による被害は前年比五十八件増の百六十件、被害額は
同約五千七百二十四万円増の約一億五千七百六十万円で、件数、被害額とも過去三番目に
多かったことが十四日、県警のまとめで分かった。金融機関の窓口から振り込ませる手口
が減る一方、現金自動預払機(ATM)を操作させて振り込ませたり、郵便小包で現金を
送らせたりするなどの手口が増加。県警は今後、定額給付金名目などの新たな手口に警戒
を強めている。
県警によると、昨年の被害は金融機関の窓口での警戒強化などにより、ATMからの送
金を指示する手口が増加した。このうち被害者がATMから送金した九十六件中、九十五
件(約99%)が県外で開設された口座だった。
被害金が振り込まれた口座は全国各地に分散しており、県警は「実行犯が全国で不正開
設された口座を入手し、犯行に使用しているため」(捜査二課)と分析している。
県警のまとめによると、ATMを操作させて現金を振り込ませる還付金詐欺の被害は、
前年比二十九件増の三十八件、被害額は約二千九百九十九万円増の約三千七百八十七万円
と急増。定形小包郵便「エクスパック」で送金させる手口は同十八件増の三十一件となっ
た。このほか、昨年末には、被害者の自宅を訪れ、現金をだまし取る「訪問型」の詐欺も
起きている。
県警は今後、定額給付金名目の還付金詐欺や資金繰りに苦しむ中小企業事業主らを狙っ
た融資保証金詐欺の発生を懸念しており、注意を呼び掛けている。
昨年一年間の振り込め詐欺による被害は前年比14%増の二万百二十四件、被害額は1
0%増の約二百七十六億円で、最悪だった二〇〇四年の約二百八十四億円を下回ったもの
の過去二番目に多かったことが十四日、警察庁のまとめで分かった。同庁は昨年十月に続
き二月を撲滅月間に指定した。