御船町の龍田紡績熊本工場で、技能実習生として働いていた30代の河北省出身の中国人女性6人が14日、記者会見し、不当な労働を強いられたと訴えた。13日に熊本労働基準監督署に救済を申し立てたという。
支援団体などによると6人は、06年1月に来日。入国直後からパスポートと印鑑、預金通帳を工場側に預けさせられ、1年目の研修期間中は禁じられている残業を1日3時間、時給350円でさせられたという。
実習生となった2年目以降は、内容を詳しく知らされないまま労働契約書にサインさせられ、最低賃金以下の月4万5000円の基本給と、残業代の時給400~450円で働かされた。給料は月に1人1万5000円しか渡されず、強制的に貯金させられていた。
6人は13日、工場の社宅を抜け出し、支援団体に駆け込んだ。14日に帰国予定だったが、未払い賃金などの問題を解決するまで日本に残る。支援団体によると未払い分は1人約120万円になるという。労基署の立ち会いの下で会社側と交渉する。
同工場では別の実習生4人が昨年2月、熊本労基署に賃金支払いの是正を申し立て、工場は労基署の指導を受けている。安藤元一工場長は「違反をしていた部分があったのは事実だが、労基署の指導以後は適正な賃金を払っている。今後の交渉で決まった未払い額は支払う」と話した。【和田大典】
毎日新聞 2009年1月15日 地方版