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【記者手帳】国土の端も知らない韓国政府

 「韓国の国土の先端がどこかについて、政府は正確に認識していない」。このような言葉を聞いても、誰もが「まさか」と思って信じようとはしないだろう。しかし実際のところ、大韓民国政府は韓半島(朝鮮半島)の島を除く陸地部分の最南端と最東端の地名について、正確に把握していない。

 初日の出を見られる場所について取材を行ったところ、慶尚北道浦項市のホミ岬と石屏里がそれぞれ「自分たちがそうだ」と主張しているのが分かった。そのため政府の地理情報サービスを提供している国土地理情報院(以下、国土地理院)に問い合わせたところ、「はっきりしない」という回答が寄せられた。ついでに国土の最南端と最東端の地名、緯度、経度についても尋ねてみたところ、国土地理院の関係者は「口頭でなら教えることはできるが、文書では難しい」と答えた。

 それでも説得して何とか電子メールで回答を受け取った。その内容はこうだ。「5万分の1尺度の地図で緯度と経度を調べたもので、国土地理院の公式的な立場とは異なる」というものだった。なお、国土地理院のホームページでも同じような説明が掲載されている。

 到底納得できなかったため、このような説明が行われる事情について再び問い合わせてみた。国土地理院は「実測を行って地図を作成したわけではなく、航空写真を基に地図を作成したため、少なくとも50メートルほどの誤差が生じる」ということだった。つまり政府機関も公式には確認できていないという、一種の「良心宣言」となったわけだ。

 結局、問題は資金だった。国土地理院の関係者は「実測を通じて最南端など各種の情報を提供すべきだが、調査を行うための関連予算がない」と説明した。

 国土に対するこの種の基本情報を提供するのは、最も基本的な政府の行政サービスであり、国民の自尊心にかかわる問題だ。もし日本が独島(竹島)周辺の海底探査を行うにあたり、韓国側が独島の位置情報を正確に把握していないとすれば、いかに衝撃的なことだろう。

 「もしかすると、独島の座標も正確に知らないのではないか」と心配になって聞いてみた。国土地理院の関係者は「独島は非常に重要なため、現地で直接測量した」と回答した。「良かった」と胸をなで下ろすと同時に、「これが先進国を目指す、建国60年を迎える大韓民国の実情か」という思いが交錯した。

チョ・ホジン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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