中国残留孤児高知訴訟の原告団長、石川千代さん(74)らが昨年7月に旧満州(現中国東北部)を訪れた慰霊の旅がきっかけとなり、吉林省の政府関係者4人が9日、県内を訪れ、交流した。石川さんは「日中友好の懸け橋になれたことがうれしい。2世、3世へと交流を継承していきたい」と話している。
昨年3月末に4年半に及んだ訴訟を取り下げたのを機に、旧満州で亡くなった日本人の慰霊や中国の養父母への感謝の気持ちを伝えようと石川さんや弁護団長の藤原充子弁護士ら10人が中国を訪問。黒竜江省で平和を願う鎮魂碑の除幕式を行ったり、吉林省長春市で養父母と再会した。
その際、同省の国際交流の窓口となる外事弁公室の蔡長清・副主任らと面会する機会があり、藤原弁護士らが「交流を深めるためにも高知県に来てください」と依頼し、県日中友好協会とともに受け入れ準備を進めていた。
この日は同公室の幹部ら4人が県庁を訪れ、尾崎正直知事と面会。尾崎知事は「県と吉林省の歴史的記念の日となることを願っている」とあいさつ。蔡副主任も「交流関係を結ぶための検討をしていきましょう」と期待を寄せた。
藤原弁護士は「鎮魂慰霊の旅をこんなに早く交流実現という形に実らせることができて良かった」と話している。
訪問団は10日に県立牧野植物園などを視察し、11日は松江市に移動。13日に帰国するという。【近藤諭】
毎日新聞 2009年1月10日 地方版