パレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けているイスラエル軍が、「人を焼き尽くす」兵器とも言われる特殊な砲弾を使用した疑いが強まっています。戦争犯罪などを監視する国際NGOは、「国際法違反の可能性がある」と非難しています。
12日も続いている、イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの攻撃。AFP通信によりますと、ガザでの死者の数は900人を超え、そのうち277人が子どもだといいます。
イスラエル軍は地上部隊を展開し、ガザ市などを包囲していますが、11日には1000人以上の予備役を新たに投入しました。ガザ中心部への侵攻など、さらなる大規模攻撃への懸念が高まる中、イスラエル軍が使用している特殊な砲弾に注目が集まっています。
ガザの街に放射状に降り注ぐ火の玉。戦争犯罪などを監視する国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の担当者は、JNNが撮影した映像を見てこう断言しました。
「これだ!白リン弾です。落下すると、100個以上の物体が見えるでしょう」(ヒューマン・ライツ・ウォッチの担当者)
白リン弾、人の皮膚に触れると激しく燃え続け、消火も極めて難しい。「人を焼き尽くす兵器」とも呼ばれていますが、2004年にアメリカ軍がイラクで、2006年にイスラエル軍がレバノン紛争で使用しました。専門家は、その威力をこのように説明します。
「白リン弾は人の肌に付着した後さらに燃え続け、皮膚を溶かし骨まで達するのです」(ロンドン大学戦争学部 ブレッグマン教授)
白リン弾は残虐な殺傷力を持つ一方で、使用自体を禁止する国際法はありません。煙幕や照明弾として用いるという、建前が成立するからです。イスラエル軍の報道官は、白リン弾使用の可能性について否定はしませんでした。
「イスラエルが使っている爆弾は世界中で使われているもので、国際法にも準じています。何も、我々が新兵器を開発したわけではないのです」(イスラエル軍報道官)
しかし、ガザのような人口密集地で使用した場合、市民を無差別に殺傷することになり、国際法にも抵触するといいます。
「(白リン弾は)人口密集地で使われれば違法になる」(ロンドン大学戦争学部 ブレッグマン教授)
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ガザの人口密集地に白リン弾が投下されている疑いがあるとして、国際人道法の義務に反すると強調。使用中止を求めています。(12日23:29)