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地球温暖化:主犯は? 人間活動VS自然変動 5研究者、学会誌上で討論

 温暖化の犯人は何か。「エネルギー・資源学会」(会員約2000人)は学会誌最新号で、人間活動で排出される二酸化炭素を主因とする研究者と、その懐疑論者ら計5人の意見を戦わせた特集「地球温暖化‥その科学的真実を問う」を掲載した。国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が、20世紀後半の温暖化は人為的との報告書を公表して2年。今も対立する両者の主張を比べるのに役立ちそうだ。

 特集には、IPCCに参画した江守正多・国立環境研究所室長のほか、懐疑論を展開する赤祖父俊一・米アラスカ大名誉教授▽伊藤公紀・横浜国大教授▽丸山茂徳・東京工業大教授、中立的な立場の草野完也・海洋研究開発機構プログラムディレクターが参加した。

 IPCCの「大気や海の温度の上昇、氷河の溶解など温暖化には疑う余地がない」との指摘には、全員が部分的を含め同意した。一方、「20世紀半ば以降の気温上昇のほとんどが人為起源の温室効果ガスの増加である可能性が非常に高い」との見解は、江守室長以外の4人が否定した。

 赤祖父名誉教授は「二酸化炭素の排出は増え続けているが、気温上昇は01年ごろから止まった。気温変化は自然変動の寄与が大きい」と主張した。伊藤教授は「米国での気温測定の精度に課題がある。地球全体を観測する衛星データは79年以降しかない」と観測自体の問題を指摘した。

 誌上では5人が主張の根拠としたデータを示し、インターネット(http://www.jser.gr.jp/)でも公開している。【田中泰義】

5氏の基本的見解
5氏の基本的見解

毎日新聞 2009年1月12日 東京朝刊

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