シャッターメーカー最大手の三和シヤッター工業(東京都板橋区)グループが展開する賃貸ガレージハウスをめぐり、埼玉県狭山市のハウスの通路が県条例の規定より狭いことが分かった。建築確認申請の図面と実際の建物が違い、確認検査機関によるチェックが終わった後でシャッターを取り付けていた。同市は問題があるとして調査を始めた。
ガレージハウスは住居と車庫を一体化させたもので、自動車愛好家の間で人気が高まっている。問題の物件は3世帯長屋(鉄骨2階建て)の1階が車庫、2階が住居で、06年6月に完成した。
県条例は、長屋の「主要な出入り口」から道路に至る通路の幅を、緊急時の避難路確保のため2メートル以上にするよう義務付けている。しかし、この建物では裏手にある玄関から建物脇を回って正面側の道路までの通路幅が約1.2メートルしかない。
この建物は、三和シヤッターの子会社で、東証1部上場の持ち株会社「三和ホールディングス」(新宿区)の役員が社長を務める「リビング百十番ドットコム」(同)が中心となり企画。顧客(ガレージハウスのオーナー)の開拓を「レグルス」(杉並区)に委託し、「ハーフビルドサービス」(北区)が建築工事を担当した。工事の完成保証人はリビング社だった。
ハーフ社によると、リビング社に紹介されたオーナーの不動産業者と06年1月に契約を締結。当初の計画では通路幅が条例違反になることに気づき、リビング社に計画変更を求めたが、同社取締役が計画通り進めるよう要求したという。
このためハーフ社は1階を「物置」としてシャッターを取り付けず、自由に出入りできるような図面を作成して、建築確認申請書を提出。確認検査機関は「法令上問題がない」として、同年6月に適正工事完了の検査済み証を交付した。この完了検査後に、三和シヤッターがシャッターを取り付けていた。
オーナーは「条例違反とは知らなかった。三和シヤッターがバックについているので信用していた」と話す。ハーフ社社長は「『検査後に取り付けることでオーナーが了解している』とリビング社取締役から言われ従った。しかし、入居者の安全性にかかわる問題なのでリビング社に改善を提案したが聞き入れられず、契約解消を申し入れた」と説明した。
一方、レグルス社長は「すべてハーフ社の作成したプランを基に進めてきた」と文書で回答。リビング社取締役は「三和ホールディングスの広報が対応する」とし、三和ホールディングス広報課は「具体的な説明はできないが、違法性は認識しており建築主(オーナー)に改善の提案をしている」と話している。【武本光政】