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派遣切り、限界集落…そこに「共産党」―ルポにっぽん(6/6ページ)

2009年1月11日8時38分

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写真「切られているのは人間です」と書かれたビラを配る。受け取るとすぐ、歩きながら読み始める人もいた=名古屋市東区、岩下毅撮影

写真「雇用大破壊は、政治が引き起こした『政治災害』だ」。スクリーンには志位委員長の演説が映し出されていた=名古屋市東区、恵原弘太郎撮影

写真共産党に入党したお年寄りの女性は「家の前の畑を作っている時が一番幸せ」と話す=奈良県川上村、高橋純子撮影

 時折、塩谷さんが共産党の政策やビジョンを語るが、すぐにまた話は、いかに生活が大変かに戻る。後期高齢者医療制度の保険料負担が重い。民営化で郵便配達員にお金を預けられなくなった。自家用車がないと、病院に行くにも年金を引き出しに行くにもタクシー代がかかる……。

 村には高校がない。子どもは15歳で村を離れ、それきり戻って来ない。かつては吉野杉の産地として知られたが、安い外材に押され低迷。65年に7200人いた人口は、2千人を切った。今春、中学生が卒業すると、井光には子どもがいなくなる。「10年後、ここは消滅してるかもな」。掘りごたつを囲んでいた陽気な笑い声が沈黙に変わった。

 川上村の衆院奈良4区は、次の総選挙で自民と民主の一騎打ちとなる見込みだ。水面下で「選挙区は民主、比例は共産」という「選挙協力」が進む。主導しているのは、村の元森林組合長(85)。50年来の自民党員だが、郵政民営化を契機に民主党支持に変わった。「民営化は必ず、地方や弱者の切り捨てにつながる」。共産党に投票することに抵抗感はないという。

 「自分の考えを持って行動しないと、村も政治もよくならないと思うようになった。それがなかったら、惰性で死ぬまで自民党支持だったかもしれない」(高橋純子)

 ■党員も「赤旗」購読者も増加傾向

 共産党広報部によると、党員数は90年の約50万人をピークに減少。94年以降は40万人前後で推移していたが、07年9月から昨年12月末までの間に約1万4千人が新たに入党した。低迷を続けた機関紙「しんぶん赤旗」の購読者数も昨年5月以降、8カ月連続で増え、新規購読者は約2万人に上る。

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