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【国際】

ガザ 恐怖と飢餓  親の遺体の前、空腹の子 惨状、国連報告

2009年1月11日 朝刊

 【エルサレム=浜口武司】砲撃で死んだ親の遺体の横で恐怖と空腹に数日耐えた子どもたち−。イスラエル軍の猛攻にさらされているパレスチナ自治区ガザの惨状が複数の国連機関などの報告で明らかになってきた。関係者からはイスラエル軍の戦争犯罪を糾弾する声も上がっている。

 「アブサラーと奥さんも死んだ。アブタウィックと息子も死んだ…」。国連緊急援助調整官室(OCHA)は九日、ガザ市郊外のザイトゥン地区で、イスラエル軍が住民ら約百十人を一軒の民家に押し込め、後に砲撃して三十人を殺害したとの生存者の証言をリポートにまとめた。

 生き残った少年(13)によると、四日夜に自宅を砲撃され、外に出ると、十五人ほどのイスラエル兵がヘリコプターから降下してきて住民に一軒の民家に集まるよう命じた。住民らは避難所と思ったが翌五日、イスラエル軍が民家を砲撃、母親らが死亡したという。

 負傷した少年は「水も食料もなかった。気を失うまで助けを呼んだ」などと話した。

 地元の救急隊員が同地区入りを許されたのは七日になってから。隊員は「室内では十六人が死亡。四人の負傷した子どもは飢えで立ち上がることもできずにいた」と証言。道路にはイスラエル軍が防塁を築き救急車が通れず、ロバの荷車で負傷者を運んだという。

 世界食糧計画(WFP)は九日、約百五十万人のガザ住民の八割が飢餓に直面していると指摘。商店から食料品が消え、住民は戦闘を恐れ戸外に出られないという。WFPでは四千トンの食糧を積んだ百三十台のトラックがガザの外で待機しているが、危険で配送できないとしている。

◆ガザ境界の武器密輸監視 国際部隊を認めず

 【カイロ=内田康】イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ侵攻で停戦交渉を仲介するエジプトとパレスチナ自治政府は十日、エジプト・ガザ境界の武器密輸の監視に各国軍の混成部隊の駐留を認めない考えを示した。

 エジプトのムバラク大統領とアッバス自治政府議長のカイロでの会談後、エジプト政府が明らかにした。

 イスラエルは停戦交渉で、ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの武器密輸を防ぐため、国際社会が協力する境界監視を求めている。

 ロイター通信によると、エジプトは境界駐留は自国軍で続ける考え。イスラエルは、過去に大量の武器がガザに密輸されてきたことからエジプト軍の監視を信頼しておらず、エジプト政府の方針には不満とみられる。

 

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