対談

円より子(参議院議員、民主党東京都連会長)VS
江端貴子(民主党東京都10区総支部長)

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 民主党東京都連会長の円より子氏と衆議院東京第10区(豊島区と練馬区の一部)で民主党から公認候補として国政に挑戦する予定の江端貴子氏による対談が行われた。政治との関わりについてまず聞いてみると・・・

娘がいると介護は受けられない!?

(円)昨年は統一地方選、参院選と選挙が続きました。しかし、今年こそ衆議院を解散・総選挙に追い込み、政権交代を実現する正念場です。私は1993年に日本新党から国会議員になりました。日本新党は候補者の25%を女性にする「クオータ制」を最初に導入した政党でした。国会議員に占める女性の割合は、参議院では当時から15%程度でしたが、衆議院では93年が2.3%、現在でも9.3%に過ぎません。それでも、女性議員が増えてきたことで、いわゆるDV(家庭内暴力)法や児童虐待防止法などができました。しかしながら、国会の委員会では、財政金融や国土交通など、国家の根幹を支える分野にまだまだ女性議員が少ないのが実情です。私は国会議員になる前から、多くの離婚相談を受け、愛情よりも経済基盤があるかどうかが多くの夫婦にとっての問題であることを感じてきました。現在の国際金融市場は、一見したところ、人々の生活には直接かかわりのないところで動いていると感じられますが、女性の視点からも、経済や金融の動きについて注意を払わなければならないと思っています。
ところで、江端さんが政治に関わろうと思ったきっかけは?

(江端)外資系企業に勤務していましたが、同居していた母の手助けがなくては育児と仕事の両立は不可能でした。そんな折、母が倒れ、介護が必要になったのです。しかし、役所に行くと「家族と同居だと生活介護は受けられない」と言われ、仕事を辞めざるをえなかった。母のおかげでこれまで私は仕事も育児も継続できていたのですから、次は私が母を助ける番だと思いました。また、同じ職場の女性が、地方にいる親の介護のため退職したのですが、自己都合での退職という扱いで、失業保険は3ヶ月間もらえないという人もいました。親も亡くなり、失業し、一人暮らしの家賃も支払えず・・・。そんな相談を受けているうちに、介護や雇用の制度は何もかも女性が家庭にいるという前提で成り立っている現実に気づいたんですね。とどのつまり、政治を変えない限り、制度は変わらないのです。子育てと介護を経験した女性が政治の当事者になる必要性を感じたのが、自分も国政に関わろうと思ったきっかけでした。

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(円)私は江端さんより年上ですから、男女雇用機会均等法もない頃に社会に出ました。企業は親元から通う女性だけしか採用しませんでしたし、女性の一人旅も受け入れられない時代でした。女性は結婚して家庭に入るのが当たり前という性別役割分業によって、介護や保育などの社会福祉のコストが安く抑えられていたのです。子どもは保育園ではなく家庭で母親が育てるべきという「三歳児神話」という言葉もありました。しかし、経済成長とともに、労働力が足りなくなると、女性にも働いてもらわなければならなくなってきました。しかし、法律は変わらないままですから、働く女性にとっては、実に使い勝手の悪い制度が残っているのが実情です。

(江端)人に制度を合わせるのではなく、人が制度に合わせているのですよね。

(円)離婚した女性が就職したいと思っても、35歳を過ぎていると、就職試験すら受けられないという「年齢制限」もありました。生活者の視点が欠けているのです。

(江端)非正規雇用の増加や非婚化、家族の形態の変化がこうした状況を一層厳しくしていますね。

強敵・小池百合子氏に挑む!

(円)さて、さて、江端さんの活動の中心である東京第10区は、自民党の小池百合子さんの選挙区でもあります。小池さんは、私とともに日本新党から国会議員になった同志でした。しかし、彼女は、集団自衛権の行使や自衛隊の海外派遣に賛成で、当時ずいぶん議論になりました。憲法について、私は「護憲的改憲論」を主張していますが、江端さんはどうお考えでしょうか。また、江端さんがあえて東京大学准教授の職を投げ打って強敵に挑もうと思われた理由を教えていただけますか?

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(江端)はい、それはズバリ、日本の若者を海外の戦場に派遣するような国にしたくないと思ったからです。私にも中学に入ったばかりの息子がおりますが、「息子を戦場に!」と望むお母さんなどどこにいるでしょうか?憲法9条の平和主義はやはり大切にしなければならないと考えています。また、小池さんが発案され、流行語にもなった「クールビズ」もいいですが、環境問題は、根本的な温暖化ガスの排出規制の方こそ議論すべきだと思うんですね。小池さんがあまり主張されない、介護や雇用の問題についても、私は母の介護、育児、仕事を両立してきたこれまでの経験を活かし、生活に密着した視点から訴えていきたいと思っています。東京10区は後期高齢者比率が高く、独居老人も多い地域です。また、中小企業からファミリー層まで、人々が多様なニーズを持っています。東大の小宮山総長は、日本は環境や少子高齢化などの問題を多く抱えるが、それを解決できる「課題先進国」だと言っていますが、東京10区は「課題先進区」といえます。東京10区から多くの課題をポジティブに解決していく政治を実現したいと思っています。毎朝、息子の弁当作りをしていますが、スーパーの特売日に買いだめしてやりくりしていることも少しは役に立つといいのですが(笑)。

国民の信を問い、女性の政治家を国政に!
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円)日本の街では、ベビーカーを押して歩くのも、歩道がないところが多くて危険ですし、企業内に保育所を設けるといっても、誰がハンドバッグに子どもを抱えて満員電車に乗れるというのでしょうか。スウェーデンでは駅前の便利な場所に老人ホームを建設したりと、生活者の視点から政策が作られているのに、日本ではいわゆる「同一価値労働同一賃金」を訴えても、なかなかそうした声は反映されないのです。



(江端)C型肝炎の問題にしても、患者の声を無視した救済対象の線引きが行われてしまっています。

(円)「消えた年金」5000万件の照合にしても、「公約ではなかった」とか「安倍政権の言ったことだから関係ない」という姿勢は、国民を裏切るものです。国民の信を問い、民意を反映した内閣を早急に作るべきでしょう。私は、そうした生活者の視点から政治を実行できる女性の政治家を増やしたいと思い、14年前に「女性のための政治スクール」を始めました。

(江端)私はたまたまTVの国会中継で円さんの女性ながら凛とした質問に感銘を受け、「女性のための政治スクール」に関心を持ちました。

(円)江端さんのような優秀な方が「スクール」に入ってくれたおかげで、今では江端さんに副校長をお任せできるようになりました。

(江端)「女性のための政治スクール」が輩出した3名の国会議員に続いて、私も国会で頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

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