2008年12月19日 22時59分
19日正午ごろ、兵庫県播磨町新島の県営駐車場に止められた軽乗用車内で、町内に住む父娘3人が死亡しているのを通行人が見つけた。県警加古川署が調べたところ、助手席側の窓に「硫化水素発生中」「近づくな」と書かれた紙が張られ、遺体のそばに薬剤が入った洗面器があった。車内から仕事の悩みなどがつづられた父の遺書が見つかり、同署は硫化水素による心中とみて調べている。
3人は播磨町の食品販売店経営、杉本幸一さん(34)と長女ほのかさん(13)=中学1年、次女つかささん(12)=小学6年。調べでは、車の後部座席に並んで座り、洗面器は助手席の後ろ辺りの床に置かれていた。
一家は数年前から3人暮らし。杉本さんの両親によると、杉本さんはフランチャイズの店を経営していた。遺書には経営がうまくいっていないことを示唆する内容や、娘たちに自殺を思いとどまらせようとしたが「ついていく」と言われたことなどが書いてあったという。
ほのかさんの通う中学校の校長によると、この日午前8時ごろ、母親から学校に電話があった。「18日に娘たちから手紙が届いた。『さようなら』『ありがとう』という内容があり気になっていた」と話したという。
同署によると、離婚後に別居している母親は18日深夜、自宅前に置かれた手紙を発見。遺書めいた内容だったため明石署に届け出たという。杉本さんの両親は「孫の手紙には『死ぬのはこわくない』などと書いてあった」と話した。
ほのかさんの担任教諭は「毎日きちんとおかずの入った弁当を持ってきていた。『お父さんが作ったの』と聞くと『そうなんや』とにっこり笑ったのが印象に残っている。教育についてもよく相談を受け、真剣に子育てに取り組んでいたのが分かっていただけに信じられない」と話した。
つかささんの小学校の校長も「明るくて運動の大好きな子。下級生とも仲が良かった。24日の終業式で渡す予定の通信簿ができたところだった」と沈痛な表情を浮かべていた。