1年前に玉砕した“恋心”に再び、火がついた。1年でのJ1返り咲きを決めた広島で、柏木の交渉が難航。獲得の可能性があると知った神戸のクラブ幹部が、補強の見直しを示唆した。
「これまで(獲得候補)リストに入っていなかった。出る可能性があるなんて、思わなかったからね…。いま、初めて聞いたんだから」
前日2日、柏木が広島との交渉で年俸2000万円の提示を保留。「(移籍)話があるなら聞きたい」と、不満を吐露した。広島をJ2優勝へ導いた主力の離脱を想像していなかった神戸にとって朗報。新たにリストアップし、補強方針を練り直すことになる。
2年越しのラブコールだ。昨年、広島はJ116位でJ2陥落。柏など複数クラブの争奪戦の中、神戸は柏木に完全移籍のオファーを出した。だが返ってきたのは「広島をJ1へ戻したい」という返事。左足の正確なパスと、“王子”と異名をとる甘いマスク。地元・神戸生まれで、人気面でも捨てがたい存在だ。今季は開幕前の左アキレスけん周囲炎や左足内転筋痛などで北京五輪代表からもれたが、潜在能力は高く評価されている。
「ウチもそう何人も獲れるわけじゃないから…」と、幹部はさらなる検討の必要性を話した。現在、エースFW大久保が海外流出の危機で、川崎を戦力外になった元日本代表FW我那覇らを候補に補強案を練っている。そのプランに割って入る20歳の原石。2度目の“ラブレター”を出す日は、近いかもしれない。
柏木 陽介(かしわぎ・ようすけ)
MF。1987(昭和62)年12月15日、神戸市生まれ、20歳。御津中卒業後、2003年広島ユースへ入団。広島・吉田高2年で、04年全日本ユース選手権優勝。05年6月、広島の2種登録選手としてナビスコ杯初出場。06年からトップチーム昇格し、7月にリーグ戦初出場。07年4月に日本代表強化合宿ではA代表の初招集された。07年U−20W杯日本代表。J1通算48試合6得点。1メートル77、74キロ。