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【社会】

特別永住者に新身分証 在留カード制 国が方針 携帯義務は変わらず

2009年1月5日 夕刊

 日本に滞在する外国人に市区町村が発行している外国人登録証明証を廃止し、入国管理局が発行する「在留カード」の携帯を義務付ける新制度で、法務、総務両省が法案の骨子をまとめた。在日韓国・朝鮮人ら特別永住者は在留カードの対象からは外すものの、登録証に代わる新たな身分証明書の携帯を義務付ける方針だ。 (佐藤直子)

 両省は次の通常国会で入管難民法、外国人登録法の改正など関連法の整備を進める。

 新たな制度では、九十日以上滞在する外国人を対象に、入国管理局が入国時に採取した指紋や顔写真、住所、氏名、旅券情報、就労先などを入力した在留カードを発行する。滞在者はこのカード情報を居住する市区町村に登録。市区町村は住民基本台帳と同様の、世帯単位の外国人台帳を作成し、在留情報を一元的に管理する。

 今後は転出・転入の際に自治体に届け出ることや、在留期間中の勤務先などの変更も入管に届け出ることが義務付けられる。このため、不法滞在を容易に見分けることができ、長期滞在する外国人にとっては地域住民の一人として福祉・教育などの行政サービスが保障されるメリットがあるという。

 日本に住む外国人は約二百十五万人。新制度の対象になるのは永住者をはじめ、日本人配偶者、企業に勤める外国人ら。

 約四十四万の在日韓国・朝鮮人ら特別永住者は在留カードの対象外だが、新たに外国人の台帳に登録し、現行の登録証に代わって身分確認する証明書の携帯が求められることになる。

 外国人登録制度が廃止されることで在日コリアンの社会には、登録証の常時携帯から解放されるとの期待も広がり、特別永住者の扱いは法案の焦点になっていた。

 入国管理局は「特別永住者も登録証に代わる身分証明が必要なのは変わらない」としているが、在日の人権団体「在日本朝鮮人人権協会」の金東鶴(キンドンハ)事務局長は「歴史的経緯からみても特別永住者には配慮が必要。権利義務の面では日本人と対等に扱われるべきだ」と反対している。

 

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