【エルサレム前田英司】イスラエル軍は28日、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの関連施設に対し、2日連続で大規模な空爆を続けた。ロイター通信によると、パレスチナ人の死者は287人、負傷者は700人超に達した。同軍はガザとの境界付近に戦車数十両を含む地上部隊を集結。一方、イスラエル・メディアによると、ガザから同日、イスラエル領内にロケット弾や迫撃弾約40発が撃ち込まれた。
イスラエル政府は28日に閣議を開き、予備役6500人の招集を了承した。オルメルト首相は「大きな痛みを伴う、長く難しい戦いになる」と説明。ガザ侵攻と地上戦が展開される可能性が出てきた。
2日間で地区内の警察署、行政機関、ロケット弾関連施設など約230カ所が爆撃された。犠牲者は初日だけで230人以上に達し、女性や子供15人が含まれるという。自治区へのイスラエル軍の攻撃による1日の死者数としては過去最悪だ。
軍は28日、ハマス系のテレビ局やモスク(イスラム礼拝所)のほか、ガザ地区からエジプト側へ通じる40カ所以上の越境トンネル付近を空爆した。
これに対し、シリア亡命中のハマス指導者メシャール氏は中東の衛星テレビを通じて、「自爆攻撃による第3次インティファーダ(反イスラエル抵抗闘争)」の開始を支持者に呼びかけた。
一方、国連安保理は28日、ガザ地区でのすべての軍事行動を即時停止するよう声明を発表した。
毎日新聞 2008年12月29日 東京朝刊