Print this Post Article Lists Back

韓国の底力:共同体の伝統、GDP比寄付額は日本の20倍

◆配慮の文化

 昨年7-9月期の1人当たり国民総所得(GNI)の伸びはマイナスとなったが、慈善団体のグッド・ネイバーズに寄せられた寄付は30%増えた。このうち、個人の比率は前年の88%から91%に増えた。1人当たりの平均寄付額も1万3000ウォン(約930円)から1万7000ウォン(約1220円)へと4000ウォン(約290円)増えた。

 社会福祉共同募金会によると、電話の自動応答メッセージを聞くと自動で2000ウォンが募金される「ARS募金」への寄付件数も14万6000件に達し、07年(7万8000件)に比べ2倍に増えた。経済危機にもかかわらず、救世軍が行う「社会鍋」募金でも募金額が過去最高だった07年を14%上回った。企業、団体による寄付は減少したが、個人による寄付が20%ほど増えたためだ。昨年も鍋の中からは額面1000万ウォン(約72万円)の小切手が見つかった。

 社会福祉団体「飢餓対策」は会員1万6000人に一人ひとり電話をかけ、後援金の額を1万ウォン(約720円)増やしてほしいと求めている。会員の75%が喜んで応じているという。

 姿を現さない隠れた天使は数多く存在する。大邱市寿城区には7年にわたり年末になると10キログラム入りの米を500-1000袋も寄付する匿名のおじいさんがいる。全州市老松洞にも9年連続で年末に数百万-数千万ウォンが入った箱を住民センターに置いていく人がいる。

 危機局面では脱落する階層が大きく増える可能性が高い。しかし、韓国社会は配慮と助け合いの遺伝子を持っており、それがショックを和らげる役割を果たしている。

 われわれはしばしば寄付文化が不十分だと考えるが、統計を見る限りはそうではない。07年の韓国人1人当たりの平均寄付額は10万9000ウォン(約7800円)だ。1人当たり国民所得の0.4%に当たり、日本(0.02%)の20倍に達する。寺や教会など宗教機関を通じた寄付金(平均23万ウォン=約1万6500円)を含めれば、1人当たり国民所得の1.34%だ。アルムダウン(美しい)財団によると、これは米国(GDPの1.7%)をやや下回るものの、オーストラリア(0.68%)、オランダ(0.9%)など先進国と肩を並べる水準だ。

 高麗大の玄宅洙(ヒョン・テクス)教授(社会学)は「困難なときに家族と地域共同体を求める韓国式の『拡大家族主義』の伝統が寄付に反映している」と述べた。

 互助組織などによる伝統的な助け合いの精神は、IT技術と出会って先進的な寄付文化へと進化している。クレジットカード、公共交通カードを通じた寄付、オンラインポイントを集めて行う寄付は韓国が世界で最も進んでいる。

 昨冬、端末機に公共交通カードをかざすと1000ウォン(約72円)が寄付される活動には1万2000人が参加した。インターネットサイト「サイワールド」のサイバーマネー「トトリ(どんぐりの意で、1個100ウォン相当)」による寄付件数は開始当初の05年には2500件だったが、08年には14倍の3万5000件に増えた。

金正薫(キム・ジョンフン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る