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ガザ空爆:非難の矛先ハマスに 自治政府、エジプト一転

29日、ガザ地区で破壊されたイスラム大学を見つめるパレスチナ人男性=ロイター
29日、ガザ地区で破壊されたイスラム大学を見つめるパレスチナ人男性=ロイター

 【エルサレム前田英司、カイロ高橋宗男】イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区への空爆で、パレスチナ自治政府やエジプト政府の非難の矛先が、ガザを支配するイスラム原理主義組織ハマスに向けられている。パレスチナを含むアラブ諸国は従来、イスラエル軍の攻撃に団結してきたが、反イスラエル最強硬派のハマスやその後ろ盾のイランに対し、「穏健派」の不満が噴出した形だ。

 「我々は何度も停戦維持を求めた。虐殺は回避できた」。アッバス自治政府議長は28日、カイロでムバラク・エジプト大統領との会談後、空爆を誘発した責任はイスラエルとの停戦延長を拒んだハマスにあると非難。この前日に空爆を「犯罪行為だ」と呼んだ姿勢から一転した格好だ。

 パレスチナはハマスが昨年6月にガザを武力制圧して以来、ハマス支配のガザと、自治政府支配のヨルダン川西岸に分断。和解の模索は両者の権力闘争に発展し、頓挫を繰り返した。議長は、ガザを蚊帳の外に置くイスラエルに同調し、和平交渉を再開。最近では来月の任期満了の先延ばしを図る議長にハマスが猛反発し、対立の深さを露呈していた。

 一方、エジプトは停戦延長や、パレスチナの分裂解消の仲介に応じないハマスに不満を募らせた。ハマスはエジプトの野党勢力ムスリム同胞団に由来し、対外的なライバルであるイランとの関係も深い。政府関係者の間からは内外の懸念を逆なでするハマスに「もはや手に負えない」との本音が漏れていた。

 アラブ民衆の目にはエジプトが「イスラエルのガザ封鎖に手を貸してきた」と映っている。空爆に対する抗議デモはレバノンやイラク、ヨルダンなどに拡大している。

 ハマスは自治政府やエジプトの姿勢を「裏切り者」と切り捨てた。イスラエルのメディアによるとハマスは27日の空爆前、エジプトから「イスラエルは軍事行動に出ない」との感触を伝えられたという。エジプトは空爆の負傷者を受け入れるためガザ境界に救急車を待機させたがハマスは「攻撃に加担した」として一時、支援の打診を拒絶していた。

 ハマスを支持するシリアは空爆を受け、トルコを仲介役としたイスラエルとの和平交渉の停止を宣言。エジプトとの対応の差を際立たせている。

毎日新聞 2008年12月29日 22時08分(最終更新 12月30日 2時06分)

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