揺らぐ文民統制
問われる在り方、現状と問題点を報告
【放送芸能】インサイダーにあぜん 『この1年を振り返る』記者座談会2008年12月28日 朝刊
今年も話題豊富だった放送界。NHK職員の不祥事は相変わらずで、インサイダーというド派手な悪事も発覚した。民放はといえば、CM収入の減少などで業績が悪化し、番組にも経営引き締めの影響が…。明るいニュースはNHK大河ドラマ「篤姫」の大ヒットぐらい? なぜか民放も篤姫、篤姫だった。放送芸能部の記者6人が、そんな1年を座談会で回顧した。 ★NHK A 良くも悪くもNHKはニュースに事欠かなかった。記者らによるインサイダーにはあぜんとしたが、調査に非協力的だった職員が相当いたことに驚いた。 B 懲戒免職になった元職員が関連団体などで再雇用されていた問題も発覚した。ルールが明確になかったのは甘いと感じた。 A 秋には、受信料の還元をめぐって経営委員会と執行部の激しいやりとりがあった。 C 古森重隆経営委員長は受信料の値下げに反対だった橋本元一会長を事実上更迭し、自らの意向に忠実な福地茂雄氏を新会長にした。二人が対立するのは論理的におかしい。福地氏は、古森氏が示した値下げ案はさすがに無謀と思ったのではないか。 B 古森委員長の豪腕ぶりが目立った。今月、新委員長に就いた小丸成洋氏は議事録でも目立った発言はなく、影が薄かった。執行部と緊張感のある関係を築けるのか。四年後に値下げできるかは、小丸氏にかかっている。 D 偉い人の話はともかく、NHKの視聴率は好調だった。ゴールデン帯の視聴率トップなんて、少なくとも近年はなかったはずだ。 E 「篤姫」の人気はすごかったが、篤姫を自局の番組で何度も扱った民放の“便乗”もすごかった。特に日テレは、篤姫を取り扱った「日本史サスペンス劇場」を、ドラマの最終回の日にちょうど再放送していて笑った。 F 「篤姫」が30%を超えるか毎週楽しみだった。結局、超えなかったけど。 E 北京五輪などの特定要因はあるけど、NHKの番組が民放っぽくなったと同時に、視聴者が高齢化してNHKの番組作りと世間のニーズが一致してきたのでは。この傾向は続くと思う。 ◆大物司会者の番組激減★民放の経営悪化 D 民放は景気低迷やネット広告の台頭で赤字に転落するキー局が出るなど、経営が苦しい。二年半後に迫った完全デジタル化への投資も負担になっている。 E フジの「とくダネ!」で不況を特集した際、小倉智昭が、自分がいつ切られて代わりに局アナが座っているか分からない、というような皮肉を効かせた発言をした。実際、ギャラの高い大物司会者の番組が激減した。 F 広告費の減少を補おうと、ドラマと連携した通販などに力を入れている。 B トヨタの奥田碩相談役が厚生労働省に関する厳しい報道に関して「何か報復でもしてやろうか。例えばスポンサーを降りるとかね」とコメントした。民放連会長も、民放各社の社長も「(奥田発言は)公式の場の発言でない」などと弱腰。大スポンサーさまには、苦言を呈せない? ◆2008年放送界の主なニュース<NHK関連> ◆職員3人が放送前のニュース原稿を見てインサイダー取引。任期満了日に橋本元一会長が引責辞任した。3人は懲戒免職処分。 ◆約20年ぶりに民間出身(アサヒビール)の福地茂雄氏が会長に就任。 ◆古森重隆経営委員長が「国際放送では、国益を主張すべきだ」との趣旨の発言。 ◆2008年度上半期の平均視聴率で、ゴールデンタイム(午後7−10時)の視聴率がトップに。大河ドラマ「篤姫」や、北京五輪が要因。 ◆次期経営計画で「2012年度から受信料収入10%還元」と修正動議で経営委員会が明記。執行部は「責任を持てない」としていた。 <放送界全体> ◆歌手の倖田来未が、ニッポン放送の深夜番組で「35歳を過ぎると羊水が腐る」と発言。ネットで情報が広がり、世論の反発を受け、テレビで涙の謝罪。芸能活動を一時自粛。 ◆文化放送が死刑が執行される瞬間の音声も含む特番「死刑執行」を放送。民放連賞最優秀賞を受賞した。 ◆山本モナが、プロ野球・巨人(当時)の二岡智宏選手と不倫騒動。「サキヨミ」(フジ)のキャスターを初回の出演のみで降板。 ◆北京五輪の平均視聴率は10.7%。瞬間最高は日本が金メダルを獲得したソフトボール決勝・米国戦の試合終了直後で47.7%。 ◆レギュラーシーズンの巨人戦ナイター中継は61試合で、1989年以降で最低数。平均視聴率は9.7%と過去最低にはならず。 ◆在京民放キー局5社の2008年9月中間連結決算で、日テレ、テレ東が赤字に転落。景気低迷、テレビ広告収入の大幅減少などが影響。 ◆「花より男子」「相棒」「容疑者Xの献身」などテレビドラマ発の映画が今年もヒット。
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