いすゞの見直し対象からも外れた「派遣社員」。日産自動車と三菱ふそうトラック・バスでも、同じように失業の危機にさらされている人たちがいる。【吉田勝、笈田直樹】
全国の派遣社員2000人全員を来年3月までに削減する日産自動車。横須賀市の追浜工場では、数百人規模の人減らしが進む。
派遣社員の男性(26)は今月16日「1カ月後に解雇」と通告された。地元の高知県で自動車用品店に勤めていたが、「給料がいい」と聞き京都の派遣会社に登録。1年2カ月間、追浜工場でエンジンの組み立て作業などを担当してきた。
派遣切りを職場で耳にしたのは先月末。「私の契約は3カ月更新で、先月末になければ大丈夫かなと思っていたが……。理不尽だ。給料とは別に4万2000円を支給すると言われたが、何の足しにもならない」と憤る。退職後は実家に戻り、失業保険で暮らすほかはないという。いすゞが直接雇用の期間従業員に限って解雇を「撤回」したことには「不公平だと思う。仕事ができる人を残すならまだ分かるが……」とこぼした。解雇通告を受けていない別の男性派遣社員(32)は「日産よりむしろ、派遣会社にしっかりケアしてもらいたい」と指摘した。
三菱ふそう川崎製作所に勤める男性派遣社員(35)は24日朝、個人で加盟した労働組合「首都圏青年ユニオン」(東京都)の仲間らと会社前でビラを配り窮状を訴えた。
25日付で解雇、29日で退寮と通告された。労組と共に働きかけ、退寮期限は来年1月末に延びたが「新しい仕事が決まらなければ引っ越しできず意味はない。ホームレスになった方との違いは、寮に居座っているかいないかだけだ」と話した。
男性が住む「中原寮」はワンルームで家賃2万円。雇用継続と住居確保の要求に応じない三菱ふそうに「言われるままに仕事をしていたのに『直接雇用じゃない』の一言で終わるのは納得できない」と不満を漏らした。
ユニオンによると、これまでに加盟した派遣社員3人と支援者らで25日、ハローワークを訪ねる。
毎日新聞 2008年12月25日 地方版