ソニーが徹底した経費削減策に乗り出した。これには、エレクトロニクス事業の全従業員数の約5%に相当する約8000人の正規社員削減案も盛り込まれている(参考リンク:ソニーの報道発表資料)。ロイター通信の報道によれば、ソニーは派遣社員や契約社員についても、正規社員と「同数またはそれ以上」の削減を計画しており、合計で約1万6000人もしくはそれ以上の人員削減となる見込みである。
現在ソニーは、最近の深刻な景気後退で大きな打撃を受けており、一部の投資計画の削減や延期、採算の悪い事業や非中核的な事業の縮小や撤退も計画している。同社は2010年3月31日までに、現在57カ所ある製造事業所をおよそ1割削減する予定だ。
こうした対策全体を通じて、2010年3月31日で終わる2009会計年度には、エレクトロニクス事業への投資を当初の中期計画よりおよそ3割削減するとしている。
削減対象とする製品分野には、CMOSイメージ・センサーやテレビなどが含まれている。このリストラ策の一環としてソニーは、2008会計年度内に携帯電話機向けCMOSイメージ・センサーの増産計画の一部を外部企業に委託し、半導体事業での投資支出の削減を図る。
さらに、テレビ市場における急激な需要の減退を受けて、最近まで検討していたスロバキアのニトラ工場での製造拡大に対する投資を延期することを決定済みだ。
また、2008会計年度末までに、フランスのダックス工場(Dax Technology Center)を含む2カ所の海外生産拠点での製造を中止する予定だ。ダックス工場は、カセット・テープなどの記録メディアを製造している。
このリストラ策によってソニーは、2010年3月31日までに全世界でエレクトロニクス事業に携わる従業員数約1万6000人のうち、約8000人を削減する予定だ。同時に、季節的な労働力や派遣社員についても削減する計画である。
同社はこうした対策により、2010年3月31日で終わる2009会計年度末までに、年間経費を1000億円以上削減できる体制の構築を目指す。
これらのリストラ策を実行する際に必要な費用の予測を含む業績への影響については、2009年1月に予定している同社の2008年度第3四半期業績発表の際に発表するとしている。
(Mark LaPedus:EE Times、翻訳:仲宗根佐絵、編集:EE Times Japan)