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韓国ドラマが競争力を失った理由

不倫・裏切り…ストーリー構成が単純すぎ

 韓流ブームの中核はドラマだった。韓国放送映像産業振興院(KBI)によると、今年上半期の番組輸出額5300万ドル(現在のレートで約47億8000万円)のうち、ドラマの割合は90.2%で、依然として絶対的な比重を占めている。しかし、価格・品質面において、日本や中国の市場で競争力を失いつつある。

 競争力を失ったのは、ドラマ制作会社が「主演俳優頼み」という体制でいるため、ドラマの質を下げたとの見方が強い。韓流ブームが最高潮だったころ、韓国内の関連産業(照明・小道具・美術・助演など)に対する投資は逆に後退した。最前線の制作現場では、トップクラスの出演者のギャラを工面するため、助演クラスの俳優の数や出演回数を減らさなければならなかった。制作会社でスタッフとして働いたのに、給与をもらえないという事態も相次いだ。

 こうしたことが結局、ドラマ全般の質的低下につながったのだ。海外バイヤーらはかなり前から「韓国ドラマは不倫・裏切り・出生の秘密などワンパターンで、食傷気味のストーリー構成ばかり。ストーリーテリング(ストーリーで視聴者を引き込む)力は明らかに低い」と不満を口にしていた。しかし、こうしたいびつな制作システムは改善されなかった。日本人ジャーナリストの川瀬俊治氏は「韓国ドラマには日本人が好きな韓国人俳優は多いが、ストーリーが弱いため、力を発揮できないようだ」と話す。MBCグローバル事業本部のイ・サンオク海外事業チーム長は「脚本が完成していないのに、番組編成や輸出契約だけ取ってきて、毎日毎日綱渡りで作ったドラマだから、いくら人気のあるスターが出演したとしても、競争力を持てるはずがない」と言った。結局、「韓流ブームはギャラが高い“韓流スター”を生んだかもしれないが、競争力のある進んだ制作システムの導入には失敗した」という自省の声が出ている。

 水原大学メディア情報学科のイ・ムンヘン教授は「日本と中国で韓流ブームが足踏みしているのは事実だが、ベトナムではまだ若い層を中心に、韓国ドラマに対する注目度が高い。地域別に差別化した“韓流対策”を駆使すれば、チャンスは無限にある」と話している。

廉康洙(ヨム・ガンス)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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