児童ポルノ摘発、提供目的所持容疑で二人逮捕

インターネットのファイル交換ソフト「eMule(イーミュール)」で、児童ポルノの動画を海外のユーザーらに提供する目的で所持していたとして、埼玉県警が男2人を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供目的所持)容疑で逮捕したことがわかった。世界中で広く利用されている交換ソフトによる児童ポルノの摘発は、日本では初めて。

ネット上の児童ポルノを巡っては、日本を含む世界74か国が連携して根絶に向けて動き始めており、今回の摘発もその一環。県警は、ほかにも関東地方の男数人の自宅などを同容疑で捜索し、押収したパソコンのデータの解析を進めている。

捜査関係者によると、逮捕されたのは和歌山市関戸、団体職員植田一石(27)、広島県三次市下志和地町、会社員宍戸満(37)の両容疑者。2人は今年9〜10月、10歳前後の女児が映った児童ポルノ動画を、世界中の不特定多数のユーザーに提供する目的でeMuleの「共有フォルダー」に保存した疑い。

調べに対し2人は、「動画が海外のユーザーの手に渡ることや、違法だという認識はあった。動画はネットを通じて手に入れた」と供述しており、県警で入手先を追及している。

県警によると、ファイル交換ソフトを利用した児童ポルノの摘発は、提供先が海外に及ぶうえ、他国の捜査当局と連携が取りにくいことから立件が難しいという。

今回は、海外の捜査機関から「eMuleを介して、日本から児童ポルノが世界中に流出している」との情報を得て捜査を開始。児童ポルノの動画をeMuleに送信していたユーザーを突き止め、自宅などを捜索した。

海外から、日本は規制が緩く、児童ポルノの流出源になっていると指摘されていることもあり、捜査当局は、11月25〜28日にブラジルで開かれる第3回「児童の性的搾取に反対する世界会議」で、国内での児童ポルノ摘発への取り組みについて報告する。