広がりをみせる自動車産業の減産の動きに伴い、派遣労働者らの雇用がさらに深刻さを増しています。外国人労働者も例外ではなく、子供が生まれたばかりのある男性も、そのわずか2日後に解雇を告げられました。
工場の前で解雇の撤回を訴える外国人の一団。イラン人にペルー人、トルコ人など国籍は9か国にわたります。彼らは派遣社員として埼玉県入間市にある日野自動車の子会社で働いていましたが、来月までに200人の解雇が言い渡されたのです。
「全然納得できない」
「これから生活もある。助けて下さい」(解雇を言い渡された外国人派遣社員)
そのため、解雇撤回を訴える外国人派遣社員が23日、異例のストライキを行いました。中でも必死だったのが、バングラデシュ出身のリポンさん(28)です。
「せっかくおれたち頑張ったのに、これから今、何していいかわからない。仕事もないし」(リポンさん)
実はリポンさん、今月2日に父親になったばかり。去年12月に結婚した美智子さんとの間に生まれた長男・暁朱(あかし)ちゃんです。
「(子供が生まれて)世界で一番うれしいです。それ以上ないですね」(リポンさん)
しかし、暁朱ちゃんの生まれた2日後の今月4日、突然、解雇を言い渡されたのです。待望の出産で喜ぶ美智子さんに、解雇を言い出すことはできませんでした。
「(仕事の)みんなに子供が生まれたと、超喜んで言ったのに、みんなおめでとうと言ってたのに(生まれた)後の日にクビ――」(リポンさん)
これまで給料は、残業代を含めて月に30万円近くありました。次の職場は見つかっていません。
「『リポン、漢字わからないでしょ』と。『漢字わからないですね』と言ったら、『仕事難しいだろう』と言われた」(リポンさん)
「使えるとこまで使う、みたいな。それが派遣なのでしょうね。実感しましたね」(妻の美智子さん)
「子供のためにも働きたい」。リポンさんは訴えます。
「安くてもいいから、とりあえずおれは仕事したい。どこの仕事でも、したい」(リポンさん)
日本人の働き手がいない厳しい仕事を引き受けてきた海外からの労働者。日本の製造業を一面で支えてきた彼らが、企業から真っ先に「不要」の烙印を押される形となっているのです。(23日17:01)