トヨタ自動車九州の宮田工場=福岡県宮若市上有木、本社ヘリから、山本壮一郎撮影
トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)が組み立て工場で働く全派遣社員約1100人の契約を09年度中に終了する方針を固めた。中途解約はせずに期間満了で順次契約を終え、直接雇用はしない。今年度に派遣社員約800人を中途解約したのを上回り、過去最多の人員削減となる。親会社のトヨタ自動車が今期の業績予想を下方修正してから言われ始めた「トヨタ・ショック」が九州でも一段と広がってきた。
親会社のトヨタも今年度に期間従業員を約6千人減らす計画。北米などでの販売不振を受けて減産が続き、人減らしを強化する。トヨタ九州の人員は約7700人で、うち約1400人が派遣社員。今回の削減は事務系などを除く製造現場の全約1100人が対象になる。
労働者派遣法は派遣期間の上限を3年と定めており、それを超えて働かせたい場合、派遣先は派遣社員に直接雇用を申し入れなければならない。トヨタ九州では、06年度に受け入れ、09年度中に3年を迎える派遣社員が1100人の大半を占めるが、減産するため、直接雇用を申し入れず、契約を終える「雇い止め」とする。
同社は07年度には過去最多の44万3千台を生産した。今年度は同水準を計画したが下方修正が相次ぎ、約29万台まで引き下げた。今年度は100億円規模の営業赤字に陥る見通し。来年1、2月からは約6500人が働く宮田工場(宮若市)の二つの組み立てラインで夜勤を休止し、在庫調整のため生産能力をほぼ半減させる。
同社は人員に「大幅な余力」が生じ、今夏と同様の中途解約を検討していた。しかし、北部九州の雇用環境が急激に悪化したため「派遣社員が次の仕事を見つけるまでに時間がかかる」(同社幹部)と判断し、中途解約は避けることにしたと説明している。
親会社のトヨタは先月、来年3月期の連結営業利益予想を前期比73%減の6千億円に大幅に引き下げた。その後、下期営業赤字の見通しとなっている。
同じく減産が続き、今年度の生産台数が前年割れする日産自動車九州工場(福岡県苅田町)も、今年4月に約900人いた派遣社員を来年1月までにゼロにする計画だ。
あいつぐ人員削減は地域経済に悪影響を与え、福岡県などの自治体が対策に乗り出している。(福山崇)